二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.33 )
日時: 2009/12/05 20:47
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

33 落ちなかった落ち葉5
  楓 視点

 それから一週間、まるで地獄のようだった。

 俺らは同意した覚えはないのに、勝手に瀞霊廷の歴史やらホロウの事やら、死神のための基本知識を叩き込まれた。

 でも、これはまだ地獄の、よう、だったのだ。まさか、これから本物の地獄を体験するとは、思いもよらなかった。


 「じゃあ、ここで一週間、生き抜いてね」

 俺らの目の前にあるモノ。それは、暗く深い森だ。

 「へ?」

 思わず、声がもれる。

 「ど、どういうこと? 朽木さん…」

 「これは、あくまでもあたしの予想だけど、人は極限状態でこそ、何かが発揮されると思うんだ」

 舞奈は俺達に二本の刀を渡す。

 「この森には、ダミーのホロウを仕込ませてある。本物よりずっと弱いけど、気を付けなきゃ、ひとたまりもないからね。一週間後に迎えに来るけど、もしその時、斬魄刀の実体化が出来ていなければ、あたしはあなた達を殺さなきゃいけない」

 なんなんだよ…それは……なんで、俺らの事を全部、お前に決められなきゃ、いけねぇんだよ。

 「俺達はやらねぇ!」

 「それなら今すぐ、あなた達を殺る」

 「なんでだよ…なんであの時、俺達をここに連れて来たんだよ!」

 全部…全部…お前のせいなんだ……

 「俺達はただ、生きていたかっただけなのにっ!!」

 すると、舞奈は少し目を細めた。

 「だから、助けたんでしょう?」

 舞奈は、手の平を強く握り締める。

 「あなた達は、あのままじゃ餓死してたよ。それは、あなた達も分かってたんじゃないの? だから、あたしに着いて来たんでしょう? 生きたかったから、あたしに着いて来たんでしょう? その気持ちがもし、今でも変わらないのなら、あたしの言うとおりにして!!」

 自分勝手な言葉に変わりはないのに、なぜか、それは俺の心に染み込んでいくようだった。

 「返事はっ?!」

 「はっ、はい!」

 「はい……!」

 突然怒鳴られた勢いで返事した俺らを見て、舞奈はニヤッと笑う。

 はっ! しまった!! 今の返事はイコール……

 「二人とも同意したことだし、がんばってね」

 俺と紅葉の地獄は、こうやって始まったのだ。