二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 日和光明記 —紅の華・宇宙の理—《ギャグ日》 ( No.17 )
日時: 2010/01/31 18:52
名前: キョウ ◆K17zrcUAbw (ID: JFNl/3aH)

『交渉成立。やはりまだまだお子様だな、“鬼子”』
 
——は、嵌められた……!?

 あまりにも簡単に乗せられた自分にしばし失望しながら、忍び笑いを凝らすオオカミを睨みつけた。深い溜息をつき、思わず額を抑え、自分の過ちにうな垂れる。
なんて迂闊なんだ……。妖の策略にこうも嵌められるなんて
 落ち込む鬼男の肩にぽんと前足を乗せ、オオカミは慰めるようにいった。

『そう沈むなって。別に悪い話じゃないだろう。お主は世界を救うキーポイントを手に入れて、我の重荷は下りる。それで丸く収まるじゃないか』

 恨めしそうに睨む鬼男の視線を受けてか、オオカミの目に微笑みが消えた。

『言っとくが我は本気だ。いいか“鬼子”。コイツの存在は今や神に匹敵する。お主の上司以上にな。そしてその至高の神を、妖共は血眼になって捜し回ってるだろうよ。それから守るのがお主らに課せられた使命だ』

 ふと見やると、オオカミの姿が透き通っているではないか。不透明なガラスのように遠くの景色がぼやけ、なんとか獣を形作っているものの、それも長居できそうにない。
 
「おい! ちょっと待て!!」

 今にも消えかかりそうな妖を引き留めようと手を伸ばすも、儚くも空を握るだけであった。
 
『よろしくな、“鬼子”——』

 獣が光となって消えた瞬間、オオカミの鎮座していた場から凄まじい閃光が発せられた。
 強烈な光は目を焼き尽くさんと網膜を刺激し、鬼男は反射的に顔を腕で覆った。
 思わず目を閉じた鬼男が再び瞳を開いた時、消えたはずのオオカミと入れ違いに、もう一つの影が浮かび上がった。

 「なっ……!!」

 絶句する鬼男の前で、その人物は地に伏した。
 だがその様子はどこかぐったりとしていて、生気を感じさせない。
 それもそのはず、

“彼は血まみれだった”——