二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ヴァンデルバスター 幻想の王 第三話更新 コメ求む!! ( No.12 )
日時: 2010/09/09 19:43
名前: 風 (ID: y5qheDIH)

ヴァンデルバスター
幻想の王


第一章:桜舞う国で
第四話「絶望の逃走 Part4」

街の外を尾根伝いに歩いていく。
カネックが木々の隙間からシュヴァルツの財布を狙っているが隙が無くて飛び込めない。
カサカサと言う小さな物音にも聞き耳を立てながら彼は銃を構え牽制しながら歩く。
だが,何時もの事なので余り緊張はしていなく其れほど疲れはしない。
長い長い尾根を真っ直ぐと迷い無く歩いて7時間,流石にシュバルツも疲れが見える。
何時も遠出をすると疲れる。
街の外を移動すればモンスターとの遭遇は避けられない。
故にモンスターに襲われるのではないかと言う恐怖も常に感じる。
天撃も使えない一般人は街や村から違う街或いは村まで移動する時,
必ずバスター数人を護衛にする。モンスター達はヴァンデルが解き放った
人間を殺す為のハンターだ。当然,身辺の警護は怠る訳には行かないのだ。

「やっと見えてきたか…」

シュバルツは疲れながらも足を進め更に4時間休憩も刻みながら歩き続け
遺跡の姿が見える場所まで辿り着く。
暫く歩いていると何人かの人だかりが見える。


『一般人では無い様だな…あの服と雰囲気から察するに実力者か』

バスターの様だ。
彼は注意深く近付き彼らの話を聞く。
世界共通語で話してはいるがこの大陸のどれとも違う類の訛りが見える。
どうやらこの周辺出身のバスターでは少なくとも無いようだ。
流れてきたのか協会からの要請によってきたのか…


『俺には預かり知れん事か』

「____其処の茂みに隠れている少年。」


ビクン!


                           馬鹿ナ俺は気配ナど………!

シュバルツは出来うる限り注意を配り音を出さずに近付いた筈だった。
長時間の歩行で疲れ気配が散漫していたのか…否,バスターとして鍛えられた体だ。
幾らなんでもあの程度歩いて疲れが出るはずが無い。
銃使いとして卓越した歩法と気配消しの技術を持っている彼の気配は微なるものな筈だ。

『それ以前に何故少年だと…』
「どうした…何をそんなに驚いている」

完全に気付いている。
隠し通せないことは明白……隠す意味も無い。
だが,流れのバスターでバスターに切掛かる様な卑劣漢だったらどうする。
シュバルツは警戒を怠らず武器に忍ばせながら茂みから姿を現す。


「随分と警戒しているんだな…悪党ならこんな風に友好的に話しかけないだろう?」
「どうだかな…幾ら気配を感じられる達人だと言っても正確な場所までは分らなかったら…
敵意の無い振りをして姿が見えた所で殺すと言うのも有りだ」

「警戒された物だ…俺はバスター協会より派遣されたアーサー・C・ハルヴェイと言う者だ。

燃え上がる様な真紅のオールバックと赤く輝く鋭い双眸をした理知的な雰囲気の男が言う。
それに続いて青味がかった黒髪の長髪に肉欲的な唇が特徴的なすらっとした目鼻立ちの
色白の美女が続く。
更にのジャケットを着用していて丸渕の眼鏡を掛けている
緑の瞳の気の弱そうな青年が最後に遅れるように自己紹介する。


「フルニール・カレンディナよ♪」
「えっと,戦士団としては見習いになりますダダダ…」

「噛んでるぞダイッチ」
「すっすすすみません……ダイッチ・ケンプファーです…よろしく(汗」

その友好的かつ爽やかな風に飲まれシュヴァルツも自己紹介する。

「そうか……疑って悪かった。俺はシュバルツ・J・シンクレイアだ。
一つ,警戒しておく」

「何かな?我々は強いからそうそうの事では」
「あんた等が強いのは分る。だが,それでも手強い相手だ。
名をランラシャ・G・カプリテェンコ,蒼雷の覇者…紅い瞳に黒い髪の精悍だが粗野な男だ。」

「成る程,彼は最近此方に姿を現していたんだね…雷の王族の1人……気をつけて置くよ」
「此処は奴のテリトリーからは遠いがそれでもこんな開けた所は不味い。
此処の近くの遺跡には何故か奴も近付かないから休んでいくのなら其処で休むと良い」

「そうか…君は見た所其処で修行をしたいようだが?」
「何…遺跡は広い」


シュバルツは少し男と会話を交し後を去った。
自らが名乗りあった相手が次の日には無残な肉塊等と言うのは流石に寝覚めが悪かった。


一方,そんなアーサーとの会話を遠く岸壁の上から黙視する存在が一人。
女だ。どうやら,腕には埋め込まれた星から上位の魔人の様だ。
透き通るような白い肌に長い黒髪,ボディラインを強調するつくりの服装に
清楚な顔立ち……一見するとまじめで柔和そうな魔人だがこの辺では恐れられる魔人だ。

名をレベッカ・エカテレーナと言う。
先の会話で出てきたランラシャの側近でもある。         


                                 ∞END∞


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