二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: バスターズ 幻想の王 第八話更新 コメしてえぇぇぇぇ!! ( No.30 )
- 日時: 2010/10/13 09:52
- 名前: 風 (ID: OK7TThtZ)
ヴァンデルバスター
幻想の王
第一章:桜舞う国で
第九話「絶望の逃走 Part9(現実を見ろ Part2)」
強烈な天撃の奔流が空を焦がす。
群生するように散在していた雲達が風により棚引いた霧の如く蒸発し消え去る。
「アーサーさん達が才牙を…」
「急いだ方が良さそうだな」
手強い敵と遭遇し助けを求めているのだろうと察したシュバルツは小さく呟き歩幅を大きくする。
それに対してダイッチも歩幅を大きくして懸命に歩んだ道を教えるように先導する。
___一方,フルニール及びアーサーは…
ゴゴゴゴゴゴ
濛々と広がる粉塵の中から現れるだろう存在にそなへまだ臨戦態勢だ。
「緩めるなよ?」
「油断してて死ぬとか戦士として有り得ないわ」
そう,アーサーの言葉に反応してフルニールは首肯する。
然し,永遠に心の力…人間には余る力である才牙を出していられるはずが無い。
才牙の力は有限で強大な力と引き換えに短い時間しか出せないという欠点がある。
その短い時間の間にどの様に技を繰り出すか連携するかが討伐の肝だ。
「____反応無いわね?」
「あぁ,小言の1つも聞えない……」
二人は訝る様に後退りしながら少し緊張の糸をほぐそうとする。
張り詰め過ぎていても長時間は戦えない。手強い相手なら持久戦になる可能性はある。
その瞬間だった。行き成り粉塵が吹き飛ばされ金色に輝く彼が現れたのは…
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
彼の肩ニ雷を象った紋章ガ浮かび上ガル____
「王族の紋様か」
其れを見てアーサーは瞬時に言う。
是までにも何度か遭遇した事のある存在だ。
それらは特殊で魔人達の世界の夫々五属性で別けられたテリトリーの中の
王者達の血を引く存在を表す。詰りは総じて強い。
シュバルツ達が到着したのはランラシャが本気になった時の事だった。
シュバルツは其処に渦巻く空気と圧倒的存在感の戦士たちに威圧され後退りする。
ズリッ
『此処に居てこの殺気か!?」
「速く!何やってるの…行くよ!」
ガシッ
実力を測れず逸るダイッチの進めと言う手信号を無視し手首を掴み彼は言う。
「逃げるぞ」
「そんな!二人を置いて!!」
「あの二人の目を見ろ……相打ってでも奴を倒す意思だ。
相打ってお前を逃して新たな力の生まれる時を信じる目だ」
「そんな…」
ダイッチは口篭る。
だが,確かに翌々見れば彼等は自分の助けを必要としているようには見えない。
今までの状況からも…
だが,だからと言ってそうですかと逃げされるか。
「俺達が立ち向かってなんになる?唯の足手纏いだ!!
加勢した所で死人が増えるだけだ!」
「そんな…」
「あの二人の盾になると言う意思を尊重して此処は逃げるべきだ…」
「僕は逃げない為に…」
異様なほどに戸惑うダイッチ。
恐らくは彼等の間に並々ならぬ感情があるのだろう。
相当な長い付き合いかも知れない。ちょっとした癖や嗜好まで分り意思疎通で着て居るのかも知れない。
然し,どんなに感情が先行しても無謀は無謀だ。堪えねばならない時がある。
「逃げる事は端ではない」
「え?」
「自分の実力も知らずに戦い命を失い大切な者を苦しませる事こそ端だ」
「シュバルツ君?」
「復讐は出来る……恐らく二人は奴に勝てない事を悟っている。」
「そんな……」
「俺達は今必死に逃げて生延びて力を溜めて二人の仇を討つ義務がある」
「義務…」
〜逃げる事は端ではない〜
其処から全て一連のシュバルツの言葉は師匠の言葉だ。
宥める様に現実の厳しさを示唆しながら好機は有るのだと先を見越して言う。
そして,今は逃げてもこの先その清算をするのだと諭す。
ダイッチは歩みを緩める。シュバルツの凛とした瞳にダイッチはその通りだと感じる。
「分った……今は耐え忍ぶ時だ」
「その通りだ……現実を見ろ!冷静に分析しろ……そして,自分の力量を測れ」
「現実を見ろ……現実を…!!」
「そして,その中で一縷の希望を願え!アーサー達は生延びると!」
二人は走り出す。
今後の未来を……生きる為に。
だが,シュバルツの目は其れとは違った哀愁に満ちた色をしていた。
彼にとってダイッチも彼等も少し対面して少し話した程度の関係…
何処で野垂れ死にしようがそれ程気に留めるほどの関係ではない。
本当は唯____
∞END∞
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