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Re: バスターズ 幻想の王 第十五話更新 コメして下さい!!! ( No.46 )
日時: 2011/01/03 20:44
名前: 風(元:秋空 (ID: OK7TThtZ)

ヴァンデルバスター
幻想の王


第一章:桜舞う国で
第十六話「ラッセル・ヴァロンアーク」


光の屈折を最大限に活かしたペルシャワイシャーの力によりセレナの目を逃れ障害物無くとも追跡を可能とした一行。
しかし,老婆セレナの更に先には予想の範囲内ながら当たって欲しくない光景が広がっていた。

『あぁ……矢張りか…矢張りそう言う事だったのか』


ラッセルは唾を飲み嘗ての憧れた存在を見詰める。恐らくは戦いは避けられないだろう。
目の前のモンスターと言うモンスター____総勢,軽く300は超えるだろう。
それも弱い物では無く強力な力を持った者も多数居るのだ。
恐らくは脅されるか何かして彼女は魔人と組まされているのだ。そして,時々こうして興味を引くような行動をしては…
逃げ道を大々的に見せびらかし此処での戦いも無い戦士としての生活を出来ない環境から逃げてみろと宣言するのだ。
無論,防壁の壁は分厚くその先にモンスターが居るなど分らない。分る程にモンスターに近づいた頃には相手も気付き
そして,自分達が町の方へ逃げてはモンスターが町の方に侵入してくるだろう事を悟る。

「詰りは網に掛けて気力のある奴を漉し取るって訳か」


小さく笑みを浮かべラッセルは言う。
それに対してシュバルツは少し慎重な風情でそんな声を出して大丈夫なのかと言外に問う。
ラッセルは頬に汗を伝わせながら言う。


「ば〜か,バレてるよ……逃げるに逃げられなくなったんだ…途中から」
「何?」


「油断してたんじゃない……相手が上手だった。すまん,俺のミスだ」


ぼりぼりと頭を掻きながらラッセルは事実を認め抑揚のある声で言う。
あくまでも途中でばれたことに実は薄々気付いていてだが,逃げるに逃げられない状況だったのだ。
おどけた様な風情で逃れられない事を謝るラッセルにシュバルツは言う。


チャキッ…

「この現実を知ったんだ……ばれてなかろうが逃げるなんて選択肢は無いだろ」

「そうだね…其れに言い出したのは僕達だし僕達も気付かなかった訳だし」
「やれやれ……馬鹿正直だな…」


シュバルツとダイッチの真直ぐ過ぎる答えに溜息をつきだが事実其の通りだと諦め
自らの才牙の効果を解こうとした瞬間だった……セレナの声が聞こえたのは……


「いつまでかくれんぼをしとるんじゃラッセルや?」


フッ____
「解こうとしてた所で言うなよ……憧れは返上だぜ姉さん」
「返上も何も————鬱陶しかっただけじゃ!」


矢張りばれていたかと今更ながらに思い自らの技の不完成具合に舌打ちをして彼は技を解いた。
そして,広がる目の前の光景……光の壁が無くなった分以前より明確な姿。
インペルドラゴンやマジックバリアなど厄介かつ凶暴なモンスターの数々。


だが,此方には百戦錬磨の戦士ラッセルと一流の戦士達が維持で活かした注目株が居ると
シュバルツは怯えはしていなかった。モンスターだけなら何とかなる。
本丸の魔人は遠くで事の成り行きを見ている筈だ。恐らくはくるまでにそれなりに時間が掛かる。
其の間にモンスターを殲滅し老婆を説得させる。不可能ではない………
自分には並程度の才覚しか無いと思っているシュバルツは他の二人に頼る様な思考をしていた。

「くるよシュバルツ……直ぐに」
「分ってる!後方支援は任せた」

「うん!!」
「行くのじゃ魔物どもよおぉぉぉぉぉ!!!」



ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


シュバルツは少し強張った自らの体をダイッチの気を緩めてというスタンスの言葉を受け解す。
そして,前衛は二人でやると言外に言い走り出す。
それを見たセレナは魔物たちに一斉攻撃の合図をする。




大地が揺れ,怒号が響く。
しかし,厚い壁に覆われた城塞都市の向こうにはその魔物の咆哮も届かない____



勝って帰るしかない。詰りは援軍が無いのだから…




                                ∞END∞


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