二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 ( No.28 )
- 日時: 2009/12/09 18:34
- 名前: ラピスラズリ ◆P2rg3ouW6M (ID: ifIUbdUl)
スリーパーは手を円を描くように動かした。何かすごい技を出しそうな仕草だ。思ったとおり。スリーパーの指から、七色の光がドーナツのようにリング状になって幾つも発射された。光のリングは、輝きながらまっすぐにミニリュウへ向かう。リングが動けないミニリュウに直撃した。光が溢れ、一瞬景色が見えなくなった。光が消えると、ミニリュウが「うっ」とうめき声を上げて吹き飛ばされ、岩に体をぶつけた瞬間が目に入る。ミニリュウはそのままぐったりと岩にもたれかかった。
み、ミニリュウが……。でも、今叫んだらスリーパーにばれてしまう。私はこっそりとスリーパーの後ろにいるんだから。作戦を成功させるため犠牲になってくれたミニリュウのためにも作戦を、作戦を成功させるんだっ。
「ふっ、これで1匹は片付けたな。そういえば、あの電気羊はどこだ?」
「ここだあっ!」
ようやくスリーパーが私の事を思い出したみたいで、私は大声で言った。なんだろう。怒りが熱となって体からこみ上げてくる。自分が、噴火直前の火山になったかのようだ。
「何!? おまえ、いつの間におれの後ろへ……?」
青ざめた顔でスリーパーが振り返った。やはり、いくら“よちむ”があるとしても竜巻とミニリュウに夢中になって、私の事は気づいていなかったらしい。
ミニリュウ、待っていてね。今すぐにかたきをとるから。ついでに、電気羊の分も。
「よくもミニリュウをっ。くらえ、<でんきショック>!」
私は全神経を集中させて目を瞑った。私のモコモコした綿花のような体から、電気が放出された。まるで、私が花火の中心にいるかのようだ。これでは電気羊ではなく、電気綿花だ。電気技を出す時は、いつも体が痒いような感覚に襲われるが、今回はそれがいっそう激しかった。<でんきショック>とは明らかに威力が違う。これは<10まんボルト>だ! 新しく覚えたんだ。
私から放出された電気は生きているかのようにくねくねとスリーパーに向かう。
「うわあ——! た、助けてくれっ!!」
さっきまで余裕だったスリーパーが、情けない声を上げた。驚きと恐怖で行動に出れないらしい。電気はスリーパーに直撃した。
バチバチバチバチ————!!!
すさまじい音が、川の流れの音を掻き消すくらい大きく響いた。火花がパチパチと飛ぶ。そして、電気がおさまるとそこに現れたのは体のあちこちが黒ずみ、ばったりと倒れているスリーパーだった。倒れてからも帯電しているのか、時々体がばちりっと光る。スリーパーの周辺の地面は黒くこげ、雷が落ちた後のように煙がもくもくと出ていた。
「や、やった……」
私は地面にぺたんと座り込んだ。緊張していたため、息が切れている。そうだ、ミニリュウを助けなくては。
「ミニリュウ、平気?」
私は急いで岩に寄りかかっているミニリュウのそばへ駆け寄った。ミニリュウは、額に脂汗を浮かべて荒い息を吐いている。早くオレンの実を渡さなくてはいけない。
しかし、ミニリュウのかけているトレジャーバッグをあさってもオレンの実は出てこない。そう、スリーパーやビードルと戦う前に食べた実が最後だったのだ。私は頭が真っ白になった。ミニリュウを助けれないだけでなく、自分だってもう限界なのに。
〜つづく〜