二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師 *amuの旅* ( No.16 )
日時: 2009/12/24 12:53
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 2zWb1M7c)

「すっご〜い! 町だ!」

 町に砂交じりの風が吹き抜けていく。そんな中で、ランは声を上げてキャキャっとはしゃぐ。本当に能天気なしゅごキャラだ。
 あむとランは砂漠から見えた町へと来ていた。そこは全く知らない町だった。道路はレンガで舗装され、立ち並ぶ家々もレンガ造り。まるでアフリカの国に来てしまったかのようだ。道行く人々の服装は、長いシャツに長いズボン。多分強い日差しを防ぐ為なのだろう。
 今歩いているのは円形状の広場だ。中央には噴水があり、多くの人々が行きかっている。

「う〜……砂漠の中歩いたから、靴の中が砂だらけだし」

 あむは立ち止まると建物の壁に片手をつき、片方の学生靴を脱いだ。ひっくり返すとジャーと砂が、蛇口をひねった水道のように出てきた。同じ要領で反対側も砂を靴から追い出す。

「うわぁ! あむちゃんは砂だらけだね」

 しゅごキャラは地面に足をついていない。いつもあむの肩の辺りを飛んで——いや浮いているのだ。だから砂などは無縁のようだ。

「あんたは浮いてるからでしょ」
「えへへ」

 ランに不満をぶつけながら、あむは靴を履きなおす。町の中に砂漠の砂はさすがにない。それで不快感から開放されると思うと、あむはほっとした。

「でも暑いな〜シャワーとかないのかな」

 あむは汗をぬぐいながら言った。
 砂漠の中で強い日差しを受けてきたあむの全身は、すっかり汗でびっしょりになってしまっている。額に桜色の髪がべっとりと張り付いてる。

「しっかし服もなんで制服になるかな」

 さっき気づいた。自分の制服はパジャマではなく、制服であると言うことに。
 白いワイシャツの上に、黒いジャケット。スカートは赤と黒のタータン柄で、膝上まである。そこに学生靴…・・・といつもと変わらない格好。でもこの町の人々にとっては珍しい格好らしい。ごくたまにだが、すれ違いざまに視線を感じることがある。その視線にたじろぎながら、あむは歩いているのだ。

「シャワーはないけど食べ物屋ならあるよ?」

 ふいに前方にスタンドが見えてきた。木彫りのカウンターの前に人々が座れるように、小さな円形の椅子が数十個近く置かれている。今は昼時ではないのか、ポツポツ見える程度だ。

「あ〜そういえば朝ごはんまだじゃん」

 その時タイミングよくあむのお腹が音を立てた。ランが声を立てて笑い出す。

「あむちゃんのお腹って素直だね!」
「う……」

 いつもなら怒鳴り返すところだが、空腹でやるきが起きない。朝……と言っても今何時かわからないが——目が覚めてからあむは何も食べていない。いい加減食べないと餓死してしまうだろう。

「食べないと死ぬし……あそこで何か食べよっか」

 あむは脱兎のごとく店へと駆け出していた。

〜つづく〜
やっとリオール編スタートです! 次からはエドも出てきます!