二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師 *amuの旅* ( No.28 )
日時: 2009/12/25 13:49
名前: 瑠美可 ◆rbfwpZl7v6 (ID: 2zWb1M7c)

「いたた」

 強い日差しの中、あむは顔を擦った。
 午後になり日差しはますます強くなった。おかげで日光に攻撃された肌は赤くなり、ひりひりとして痛む。今は日陰を歩いているので幾分かましだが、照りつける日差しは容赦ない。

「大丈夫? あむちゃん?」

 そう言うランは、早くも真っ黒だ。泥人形がそのまま動いたらこんな感じになるだろう。肌の色はすっかり日焼けしてしまい、この町の人々と変わらないくらい。だが当の本人はそのことに気づいていないらしく、平然としたままである。肌が焼ける痛みも感じないらしい。

「ここは日陰だからね」

 あむとランが歩いているのは住宅街だ。石造りの家々が並木のように左右に広がる。ただどこからも人の気配がしない。風が通り抜ける音だけがする。

「それにしてもエドワードさんとアルフォンスさん……こっちに本当に来たのかな?」

 店の親父に言われたとおりに来たのだが、二人の姿は見当たらない。

「もしかしてこの先かな?」



 それは突然目の前に現れた。白く大きな神殿。支える四つの柱は、天に届きそうなほど高い。まるで空を支えているかのよう。そして神殿を守るかのように、大きな杖を持った男の石造が柱にくっつくように配置されている。何だか成金趣味だと思うのは、あむが田舎ものだからだろうか。
 神殿の前は広場になっていて、そこは多くの群集で埋め尽くされていた。住宅街に人がいなかったのは、ここに来ていたからだろう。

「この地に生ける神の子らよ。祈り信じよ、されば救われん」

 遠くから老人のしわがれた声がする。それを人々は静かに聞いている。

「太陽神レトは汝らの足元を照らす。見よ。主はその御座から降って来られ、汝らをその諸々の罪から救う。私は太陽神の代理人にして、汝らが父」
「あ〜もうっ」

 あむは人々を強引に押しのけながら、エルリック兄弟を探していた。弟のほうは鎧だからすぐに見つかるだろうと高をくくっていたが、中々見つからない。
 そして教主様の有難いお言葉は、かえってあむをイライラさせている。何となくだが好きになれないのだ。
 どうしてみんなここまで信じるんだろう、とあむは口に出さずに思う。

「あむちゃん、もしかして建物の中なんじゃない?」
「あ、そうかも」

 あむは人の輪を抜けると、神殿の中へと入る道を探す。
 すぐに『入り口はこちら』と書かれているプレートが見つかった。そして中へと足を踏み入れる。
 ——中で何が起きているのかもわからずに。