二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: バトル・テニス-バトテニ- ( No.15 )
- 日時: 2009/12/19 16:56
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=14552
35 あなたのように
「越前!!」(手塚)
手塚が叫ぶ。
リョーマは不意をつかれた手塚をかばった。
咄嗟に出て行ったせいで、自分は上手く交わせなかった。
背中に大きな傷が出来ていた。
「越前ッ!!!」(手塚)
リョーマは手塚に寄り、下を向いていた。
呼びかけても動かない。
死んでしまったのか?
あの一撃で。
俺をかばった、あの一撃で・・・?
俺が弱いばっかりに。
戦う決意をしたつもりで居て、いざとなったら、やはり怖かった。
幸村のすきがあれば殺さず説得しよう、なんて甘い考えだったのか。
自分も越前も守ろうなんて、都合の良い考えだったのか。
俺の一瞬の隙。
それはきっと、甘い考えがもたらしたモノだろう。
自分の気持ちが中途半端なのに無理矢理戦おうとして、
生きたいのにカッコつけて命をかけて仲間を守るとか言って・・・
結局は、なんの決意も出来なくて、仲間を傷つけた。
自分の気持ちが分からない。
それだから、俺は弱いままなんだ。
コイツは、一瞬で決意した。
“自分を捨てても、他人を守る”という決意を。
「て・・・づか、ぶ、ちょ・・・」(リョーマ)
とぎれとぎれに手塚を呼び、リョーマがゆっくりと上を向く。
「越前?!」(手塚)
「ぶちょ・・・う・・・ 大丈夫・・・ですか?」(リョーマ)
「大丈夫だ、お前がかばったからだ。 越前」(手塚)
俺が助かったのは・・・お前の勇気のおかげだ。
「そうッスか・・・? 俺・・・少、しは・・・強く、なれましたか?」(リョーマ)
アンタに追いつきたくて、強くなりたくて。
アンタの背中ばかり見てるのがイヤになった。
ただ・・・アンタのように強くなりたかっんた。
「お前は強い、越前。 お前が居なけりゃ、俺は・・・」(手塚)
いつになく、手塚が弱気なことを言う。
悲しみにみちた表情で。
そんな手塚を、リョーマは知らなかった。
「よく・・・言うよ、アンタの方が、よっぽど・・・
強い、くせに」(リョーマ)
「越前・・・」(手塚)
強くなんかない。
今までお前が見てきた俺は、決して、俺1人の力じゃない。
「お前達が、居てくれたおかげなんだ。 俺が強くいられたのは」(手塚)
だから、1人になれば駄目になった。
そう語る手塚を、リョーマは不思議な顔で眺めた。
「部長、でも・・・そんな顔、するん・・・スね」(リョーマ)
「悪いか?」(手塚)
「別に」(リョーマ)
今なら、ちゃんと決意が出来そうだ。
俺は、仲間のために命をかけよう。
俺を強くしてくれた、仲間のために。
しばらく、俺は2人を見ていた。
何故だか分からない。
だけど、無性に腹が立った。
何故だか、分からない。
無性に、羨ましく思えた。
殺そう。
俺には、仲間も守るモノもない。
俺には、自分しかないんだ。
グサッ
俺は容赦はしない。
だから、キミが準備が出来るのを、待ったりしないよ?