二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 銀魂 〜楽しみは多い方が良い〜  ( No.212 )
日時: 2010/03/13 10:53
名前: 藤崎パン ◆i9wQCXHO3o (ID: UAynsV1W)
参照: みなさんただいま!!完全復活藤崎パンですb 新PCより

もう春の兆しは見えているころだというのに、陸奥の地はまだまだ吐く息も白く、手もかじかんだ。
澄み切った乾いた青い大空が、山南を見下ろしている。

すべて、すべてが懐かしい。

もう何年と帰ってきていないのに、その風景は、昔のままだった。


第53訓  〜変わったのは心だけで後は何も変わっていない〜


駅から15分歩いたところに山南の実家はあった。
小さな一軒家で、祖父の代から建っている、いかにも田舎くさい建物だ。
山南はその家の戸に手をかけた。そのまま横へ僅かにずらす。

(開いてる。)

そのまま戸をガラガラと開けた。

「おーい、暮ぇーいるかーぁ?暮の大好きなえーすけ君が帰ったぞー」

山南はほぼ棒読みで言った。
そしてその声の直後、ドダドダ!と足音が聞こえてきて___

「ヤーン!えーすけー!待っとったでぇー!」

女性に抱きつかれた。
その握力はすさまじく、山南の体は枝が折れるような音をたてた。

「イギヤァァァァァ!!」

山南は悲鳴を上げた。

「元気元気ィ!えーすけー!」

女性は山南を話すと今度は頭を撫でているつもりなのか、頭をベシベシとたたいている。

「イダッイダッイダッダッダッ!!」

山南はたたかれる度に奇声を上げた。

「おおお、おちつけ暮。俺が帰ってきてうれしいンだろうと思うンだろうけど、そんなに可愛がられると、俺、    死ぬから」

最後のほうはとても小声で言ったため、“暮(くれ)”には聞こえなかったらしい。

「さぁえーすけ!一緒に飲もーや!今日は夜まで、いや、明日まで飲みまくンでぇ!」

そう言って暮は山南をズルズルと引っ張った。