二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ■━━紫弓【銀魂】━━■ ( No.25 )
日時: 2009/12/21 22:04
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:          ( ´・ω・)繋がった 繋がった  導火線と辻褄が

■━━・・・拾


朝。
風や雪はまだ酷く降っている様だが、窓から差し込む光は、まだ眠気が残る高杉の頭に「朝だ」と認識させた。

稜弥を自分の布団に寝かせた後、布を濡らして稜弥の額に載せるなどをして一通りの応急処置を行った高杉は、座ったまま寝てしまっていた。

朝になり目が覚めると、稜弥は昨日と同じく辛そうな呼吸を繰り返してばかりいた。

高杉は「稜」と名前を呼んでみる。
稜弥は返事をせずに、ただ額から汗を流した。

それを指で拭ってやる高杉。

その指の感触からか、稜弥は『ん…』とゆっくり目を覚ました。

「わりィ、起こしちまったか?」

高杉はそっと言う。

稜弥はむくりと起き上がると、『ううん』と首を横にふった。

『…兄貴、昨日は驚かせたよな…ケホッ、ゴメン…』

虚ろな目で高杉を見つめながら、申し訳なさそうに俯いた。

高杉はそれを聞くと、フッと笑って稜弥の頭にポンと手を載せ、撫でた。

「何だ急にしおらしくなりやがって。テメーらしくねェなァ稜?」

その言葉に、すこしピクリとなった稜弥。

『だって、兄貴に迷惑掛けたなーと思ったんだもん。運んでくれたのも兄貴でしょ? 重かっただろ、俺』

「ああ重たかったなァ。ククク、テメェ太ったな」

『アンタ乙女になんて事言うの。しかも病人なのに』

「どこが乙女だ気色悪ィ」

『さーて今俺傷ついたぞっと』

なんだよもー、心配してくれてると思ったのに。
と、稜弥はガッカリした表情を見せる。

高杉は、いつもの稜弥の切り返しに少し安心した。

これが通常。もしもこの会話の中で『そうだよな…、重くてゴメンなさい、マジで』なんて言い出したら、槍とか鉛が降ってきてもおかしくない状態である。

高杉は、

「心配してない筈がねェだろ、ボケが」
と言って、稜弥の額を強めに小突く。

そして、スクッと立ち上がり、

「船医連れてきてやらァ。多分、もう帰ってきてんだろ。ついでに欲しいモン、あるか?」

と、稜弥に尋ねた。

稜弥はッッッ…と痛みに耐えながら、

『…じゃ、水』

と高杉に注文した。

高杉はそれを聞くと、「分かった」と言って部屋から出て行った。


稜弥はまたゴロンと布団に転がると、さっきの高杉の言葉を思い出していた。

『…「心配してない筈がねェだろ」、だってさ…』

高杉が心配してくれていた事が少し嬉しくて、つい口元が緩んでしまう。

稜弥は、少しでも早く風邪を治そうと決心し、またゆっくりと眠りに落ちていった。


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其の後、船医に見てもらって、薬を処方してもらった稜弥は、たちまち回復。

仕事に復帰後、今までの約3倍働かされたのは高杉のちょっとした意地悪である。

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