二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *妖精の尻尾* ( No.12 )
日時: 2009/12/25 13:38
名前: チャミー (ID: t/DqlZw8)

第7話「恋敵、時々親友」


前回に続いて、今回もグレイ様争奪戦が行われている『妖精の尻尾』。
続いての手料理はルーシィが作った肉じゃがです。


「肉じゃがって……」
「普通だな」

なぜか不満そうな顔をしてナツとグレイが言った。

「え!? 普通の料理を作る勝負じゃなかったっけ!? これ!!」

ルーシィも負けじと言い返す。

そして、不満そうな顔でナツとグレイが肉じゃがを食べた。
……そう、食べたのである。


「「————————ッッ!!!!」」


声にならない声が、ギルド中に響き渡った。
……と言っても、声になってないから実際は響いてないのだが。


「え!? そんなにまずかった!? あたしの料理!!」

ルーシィがビックリして言った。

横では意識を失って倒れているナツとグレイの姿が。
それを見たジュビアは「グレイ様!!」と、グレイに駆け寄っていった。

「えー……。あたしって、料理できないキャラだったんだ……」

本気でルーシィは落ち込んでいた。


評価は☆
グレイからのコメントは「なんか、甘いんだが、苦くて、肉は生だが、じゃがいもはこげていた」
ナツからのコメントは「おお!? なんか、甘くて苦くてがりがりしてて生臭ぇ!!」

その後、二人は再び倒れこんだという。


***


ナツとグレイが何とか回復したので、次はジュビアの料理。
作ったものは『しゃぶしゃぶ』


「「…………」」

ナツとグレイ(そのほかのメンバーも)疑問に思っていたこと。
それは……


——しゃぶしゃぶって、手料理か……?


「ま、まぁいいんじゃねーの? とりあえず食ってみればどうにかなんだろ」

グレイがそう言うと、ナツもそれに賛成して肉を手に取った。
が、またそこで新たな疑問が生まれた。


——水(というか、お湯)がない……!!


一同に「まさか……!!」と言う感じの空気が流れた。
そしてジュビアは、その一同の期待を裏切らなかった。

「グレイ様、このしゃぶしゃぶは、ジュビアの体を使ってもらうんです。……あ、ナツさんのことが好きとか、そういうことじゃないんです」

ジュビアが照れながら言った。

「いや、無理!!!」

グレイがあわてて言った。
他のメンバーたちも、「うんうん」というようにうなずいている。
一方ナツは、目をキラキラと輝かせて肉を持って構えている。

「なぁなぁ、早く食おーぜ」
「いや、無理でしょ!!!」

ナツ以外の人が必死に止めたので、ジュビアは不戦敗となった。


***


「優勝はミラちゃんか……」
「おー、ミラー!! 優勝おめでとー」

「なんか違う……」と言うような顔をしているグレイに対しナツはいろんなものを食べれて上機嫌と言う顔をして言った。

「うふふ、ありがと♪」

ミラは満面の笑みで周りにいたメンバーたちに微笑んだ。


「ピュー!! ミラちゃんサイコー!!!」
「優勝おめでとう!!」
「結婚してくれー!!!」


そんな声がギルド中に響き渡った。


***


「ジュビア、負けてしまいました」

ジュビアはかなり落ち込んでいた。

「いや、あれはどう考えても負けるでしょ……」

ルーシィが苦笑を浮かべて言った。

「ジュビアは本気でグレイ様を愛しているのに……」

ジュビアは今にも泣き出しそうな顔をしている。

「……大丈夫よ」
「え?」

ジュビアをまっすぐ見つめて、ルーシィが言った。
ジュビアはぽかーんとして聞いている。

「大丈夫。ジュビアのその気持ちはちゃんとグレイに届いているわ」
「ルーシィ……」

ルーシィが笑顔でそう言うと、ジュビアはいつもの調子を取り戻して、言った。



「ジュビア、絶対にルーシィには負けません!!」




「だから、あたしは恋敵とかじゃないから……」

困ったように言うルーシィだったが、自然とルーシィの顔から笑みがこぼれていた。

それにつられて、さっきまで落ち込んでいたのが嘘のようにジュビアも笑い出した。




——ジュビア、『妖精の尻尾』に来てよかったです。




——だって、こんなすてきな友達ができたから……






続く