二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: その歌の意味を ( No.1 )
- 日時: 2009/12/18 20:26
- 名前: 雪子 (ID: Gb5QJ608)
「ネヴァーエンディングストーリー」
/エレファントカシマシ 作詞・作曲:宮本浩次
一
カーテンの意味等無いとばかりに部屋にさす光。
眩しさに、目を開ける事すら難しく感じる。
しかし起きぬ訳には行かないので、無理に体を持ち上げ目を少しづつ開ける。ベットはそれほど広いとは言えなかった。
今日が休日であればもう少し眠れたのだろうか…と、平日に怒っても仕方無い。
「あ、おはよう」
同棲している彼女はそう言った。台所でコーヒーを入れている様だ。
彼女は美しい、と自分は思っている。それなりの長さの黒髪は、良く手入れされたものだと一目でわかる。特にアピールするものは無いが、全体のバランスが良く、とても彼女の見た目は気に入っている。それ以上に、彼女自身が好きなのだが。
しかし自身はどうだろう。言う程ひどく無いと思いたいが、良いとは言えないであろう姿。髪は、元々の質なのかある程度さらさらにはなる。長さは特に短くも無く、長くも無く、だ。
せめて起こしてくれればいいのに…と贅沢は言わないでおこう。
自分は彼女に迷惑以外何もかけていないのだから。
「ああ…」
生返事。もっと今にもここにいてくれてありがとうと、愛してくれてありがとうと、色々と言いたい事はあるのだがいつもタイミングにも巡り会えず、今は眠気で声が出ない。
カーテンをこじ開け、更に増した光に目を細め、窓を開ける。
しばらくしていると随分光に慣れてきた。
空を見上げると、いつも通りに鳥が空を舞っている。
…何度鳥になりたいと願っただろう?
こんなにも自由に空を舞えたらと、何度願ったか。
夢も、希望も何も…。
この様に自由になれれば、かなうのだろうか。
彼女を幸せにすることも。自分が幸せになることも。
なんて言うのは、ただの我侭なのだろう。彼女を幸せにすることは、このままでも可能であるのだから。
「今日はライブだっけ?」
彼女が問いかける。
ライブ…と言うのはこちらがする側で、それも自分は華々しいボーカルという訳でもなくベースだ。曲を作りはしているが。
「ああ、客が居るかどうかは知らないけれど」
いつも客は十数人ぱらぱらといる程度だ。
それでも誰かに聞いてもらえば、それでいい。
出来れば、もっとたくさんの人に聞いてもらいたいという願いもあるが。
「そっか」
その美しい微笑みに、自分は惚れたのだ。