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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: まったく関係ないけど汚忍が好きすぎる ( No.12 )
- 日時: 2009/12/22 16:00
- 名前: 雪子 ◆4kt9c3whh. (ID: Gb5QJ608)
九
公園についたのは、夕日が出てきたあたりだった。
子供たちは帰る準備をしていたり、公園から出ていったりしていた。
公園内はありきたりで、ブランコ、ベンチ、滑り台、砂場があり、それと同じくらいのスペースに、遊具の無い地が広がっていた。そちらで遊ぶ方が人気らしい。
とりあえず、公園に入りベンチに座る。
「いやあ、かわいいね」
ベンチに座り、彼女がまず口にしたのはそんな言葉だった。
子供の事だろう。
「まあね」
確かに、そうだ。まだ仕事も安定していないので作る気はないが、いずれ欲しいと思うのは当然だろう。
「そういえば、何の本を買ってたの?」
気になって質問をしてみる。
急に本屋に行きたいと言ったというには、何かとても欲しかったのだろう。
「好きな作家の新作が文庫化したからね。結構読んでいたんだよ、気付かなかった?」
気付かなかった。彼女のそんな趣味すらも知らなかったと言うのか?
そんな自分に、愛してる等と言う権利はあるのだろうか。
ずっとそばにいてくれと、言う権利はあるのか。
その後も、無駄話を続けていた。
仕事場でどうだこうだ。ライブがどうだこうだ。
笑いは絶える事なく続いた。その微笑みは、あらゆる不安を消し去るには十分過ぎた。
しかし、まだ夜、決意した事は伝えられていない。
伝えよう、と決意したのは、もう月が出てきた頃だ。
「なあ」
しばらく沈黙が続いた後、ベンチに座って言う。彼女は子供がいなくなったのでブランコに座り、たまにこいでいた。
「何?」
彼女は聞き返す。言い出せるだろうか、自分は。
「うーん…なんというか、本当に聞いてられないかもしれないけれど、聞いてくれないか」
「何をよ。うんまあ、いいよ」
彼女は笑って言う。自分が笑っていないのは、場違いの様に思えた。
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