二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.Gray-man†運命の歯車† ( No.3 )
日時: 2009/12/18 19:00
名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: w3Re2V0V)

     † 第二章「操り人形」  第六夜 †


 「……死んでなかったのか」

レギは肩で息をしながら鎌をリング状に戻した。
レギの立っている周りでは先ほどの攻撃で弾け飛んだ水龍でできた水溜りがある。
その視線の先には遺跡の壁画に飛び散った血の跡と血溜りがある。
しかし、ヴァルの姿は無い。

 「逃げたか……。まぁオレもその方が好都合だからいいか」

レギのその真っ紅な瞳は点々としている血の跡に向けられている。
その点々はあらゆる方向にあるため後をつけることができない。

 「一旦、戻るか」









        _________リリリリン!!!


 「リーバーくん!鳴ってるよー」
 「室長が出てください。通信機はあなたの机の上でしょうが!」
 「だってないもん!」
 「ないんじゃなくて、書類で隠れて見えないんでしょ!
  じゃあその雪崩がおきそうな書類をどうにかしてください!
  こっちは忙しいんですから」

リーバーの冷たい言葉で仕方なくコムイは電話にでた。

 「もしもし?」
 「____________………」
 「あれ?」

しかし、電話をしてきた相手の声が聞こえない。かわりに、ノイズが聞こえた。
次第に声ではないが吐息が聞こえるようになってきた。

 「あの、誰?」

コムイは電話のコードを指でグルグルしながら素直に思った事を口にした。
この時点では何が起こったかなんて知るわけも無いのだ。

 「ハァ、ハァ、俺だ。…シスコン野郎」
 「ちょっと!!!!誰がシスコン野郎……っていうか誰!?」
 「……言うの面倒だから気付け」

「あ!!!!」とコムイはこの言い方で誰だか分かった。
というより、面倒だから、という言葉が一番分かりやすかった。

 「どうしたの?任務は……というより何かあったの?」

「任務サボろうとしてるんじゃ」と言いかけたがいつもと違うのに気づき、
いつになく真剣な声でそう言った。

 「レギっていう奴と戦ったんだが……攻撃を…うけ_____」
 「え、大丈夫!?」

不自然なところで言葉が切れたためコムイは慌てて声をかけるが返答が無い。
ツーッと冷たい汗が頬を伝っていった。

 「リーバーくん!スペインで誰か任務に行ってない?」
 「え、確かリナリーがさっき行きませんでしたか?」
 「あぁ!そうか。すぐに連絡してヴァルくんの所まで行ってもらって!」

ただ事ではないと思ったリーバーは、
通信機でリナリーのゴレームに繋がるようにしながらコムイに事情を聞いた。
しかし、返ってきた答えは最悪しか言いようのない事だった。

 「え、でもヴァルがまさか……」
 「____それほどにレギ・インフォルトという人物が強いかって分かってしまったね」





とりあえず、コムイには連絡はとれた。
レギに斬られたあと水龍はすぐに消えずそのまましばらく残っていたので、
その間に駅の近くまで戻ってこれた。
今はとてもじゃないが動けはしない。先ほどの攻撃をもろに受けてしまった。

 「ったく、面倒クセェ」

なんとか声に出した言った。
そのままじっとしていると意識が遠のいていってしまう。

 「でも、あいつの瞳ってアレンは……灰褐色って」

確か、倒れる前に見た色は真っ紅な色だった。
イノセンスを解放したからではない。じゃあ、何故だ?
まさか、ヴァル一族がなんかしたとか?


 「まさか、な。………っつーかヤベェかも」

そこで完璧にヴァルの意識は途切れた。


                      続く