二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.31 )
日時: 2009/12/26 18:25
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

31 落ちなかった落ち葉3
  楓 視点

 舞奈の白い羽織の背中には、大きく、零と書かれていたのだ。つまり、母上と父上を殺したのは……
 俺は何も考えずに飛び出して、舞奈につかみかかった。
 
 「楓!!」

 その時、俺の体を支配していた感情。それは、怒りだ。俺がそんなに怒ったのが、生まれて初めてだった。

 「父上と母上はお前が殺したんだな!! なんで俺らを助けたんだ!!! 罪滅ぼしか? それとも、俺らを騙して殺す気か?」

 「ち、違う!! あたしは——」

 「なんで俺らを裏切ったんだよ!!」

 「あ、ちょっと待って! 楓!!」

 舞奈が呼び止めるにもかかわらず、俺は走り出した。
 あいつなら、信じられると思ったのに…信じていたのに……!
 胸から何か、熱いモノが込み上げてくる。
 あ〜 クソッ…なんでこんな気持ちになってんだ、俺は……あんな、出会ってまだ一日も経っていない人に、なんでこんなに絶望してるんだよ!!
 部屋に入ると、紅葉がすでに起きていて、入ってくるなりに、ふすまをバンと閉めた俺に驚いて、顔を上げた。

 「楓兄ちゃん…?」

 紅葉が近付いてくる。

 「どうしなの? 何で泣いてるの?」

 「なんでもねぇ…悪い、らしくねぇよな……」

 そうは言ったが、次々と込み上げてくるそれを、止める事は出来なかった。
 その間、紅葉は何も言わずに、俺のそばにいてくれた。


 少し落ち着いてから、俺は紅葉にさっき見た事を話した。紅葉はたまにあいづちを打つ位で、最後まで表情一つ変えずに、聞いていた。
 そして、最後にこう言ったのだ。

 「楓兄ちゃんは、直接、朽木さんと話をした?」

 「えっ…?」

 「楓兄ちゃんは、朽木さんの所から、直接それを聞いたのじゃないでしょう? だったら、勝手に判断しちゃダメ!」

 初めて見た。紅葉もこんな目をするんだ……

 「だから、後で朽木さんの所に行こ?」

 俺は小さく頷いた。
 あの短い時間で、俺はたくさんの『初めて』を体験した。俺があんなに怒ったのも、あんなに泣いたのも『初めて』だ。紅葉があんなに強気になったのも『初めて』見た。
 宮輝家の中の閉じた空間では、決して体験出来なかっただろう。
 今は全然だけど、いつかこの事で、舞奈に感謝する日は来るのかな……