二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.33 )
- 日時: 2009/12/26 20:56
- 名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)
33 落ちなかった落ち葉5
楓 視点
それから一週間、まるで地獄のようだった。
俺らは同意した覚えはないのに、勝手に瀞霊廷の歴史やら虚の事やら、死神のための基本知識を叩き込まれた。
でも、これはまだ地獄の、よう、だったのだ。まさか、これから本物の地獄を体験するとは、思いもよらなかった。
「じゃあ、ここで一週間、生き抜いてね」
俺らの目の前にあるモノ。それは、暗く深い森だ。
「へ?」
思わず、声がもれる。
「ど、どういうこと? 朽木さん…」
「これは、あくまでもあたしの予想だけど、人は極限状態でこそ、何かが発揮されると思うんだ」
舞奈は俺達に二本の刀を渡す。
「この森には、ダミーの虚を仕込ませてある。本物よりずっと弱いけど、気を付けなきゃ、ひとたまりもないからね。一週間後に迎えに来るけど、もしその時、斬魄刀の実体化が出来ていなければ、あたしはあなた達を殺さなきゃいけない」
なんなんだよ…それは……なんで、俺らの事を全部、お前に決められなきゃ、いけねぇんだよ。
「俺達はやらねぇ!」
「それなら今すぐ、あなた達を殺る」
「なんでだよ…なんであの時、俺達をここに連れて来たんだよ!」
全部…全部…お前のせいなんだ……
「俺達はただ、生きていたかっただけなのにっ!!」
すると、舞奈は少し目を細めた。
「だから、助けたんでしょう?」
舞奈は、手の平を強く握り締める。
「あなた達は、あのままじゃ餓死してたよ。それは、あなた達も分かってたんじゃないの? だから、あたしに着いて来たんでしょう? 生きたかったから、あたしに着いて来たんでしょう? その気持ちがもし、今でも変わらないのなら、あたしの言うとおりにして!!」
自分勝手な言葉に変わりはないのに、なぜか、それは俺の心に染み込んでいくようだった。
「返事はっ?!」
「はっ、はい!」
「はい……!」
突然怒鳴られた勢いで返事した俺らを見て、舞奈はニヤッと笑う。
はっ! しまった!! 今の返事はイコール……
「二人とも同意したことだし、がんばってね」
俺と紅葉の地獄は、こうやって始まったのだ。