二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.34 )
日時: 2009/12/26 21:11
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

34 応え
  楓 視点

 森の中には、本当にホロウがウジャウジャいた。
 本当にダミーなのかと疑う程、強かった。舞奈の言うとおり、油断なんかしたら、ひとたまりもない。
 宮輝家が武道派の家で、俺も紅葉も小さいときから、その教育を受けていた事に、本当に感謝した。
 だが、斬魄刀に名を聞く事だけは出来ずにいた。そして、そのまま時だけが刻々と過ぎていた。


 「ねぇ、楓兄ちゃん…」

 夜、たき火を起こしていると、紅葉が深刻な顔で、俺に声をかけた。

 「どうした?」

 「あのね…最近、よく夢を見るんだ……」

 「夢?」

 すると、紅葉は小さく、コクッと頷く。

 「夢の中で、深緑の大きな鳥が私に話しかけるの。聞け、俺の名は……」

 そこで、紅葉は黙り込んだ。俺はその続きが気になり、たならずに紅葉を促した。

 「分からない……」

 そう紅葉は俺に告げる。

 「いつも、そこで目が覚めちゃうの。だから、分からない……」

 なにかの予兆だとは思うけど、どっちにしろもう遅い。明日で一週間だ。でも、斬魄刀はどんなに問いかけても、返事をしてくれる事はなかった。

 「もう、ダメかもしれないな……」

 思わずそう零すと、俺らの間に沈黙が流れた。
 闇の静けさは、本当に気味が悪かった。それに包まれると、なんだか絶望感に押し潰されそうになってしまう。だから、俺はそれを破ろうと、口を開いたが、声を発する前に、別のモノがその静けさを破った。
 甲高くて、背筋が凍りそうな位恐ろしい叫び声。

 「ホロウだ…!」

 紅葉の言葉とほぼ同時に、ホロウが4、5体現れた。
 ホロウは巨大な手で、近くにいる紅葉を掴もうとした。紅葉はそれを見計らい、刀を頭上に構える。そして、手がギリギリに近付いてきた所で、斬り付けた。
 いつもなら、これで大きな切り傷が付けられるはずだ。だが、今日は違っていた。

 「無傷…?!なんで!!」

 紅葉が驚きの声を上げた。
 そのまま、紅葉はホロウに掴まれ、その手でギュッと小さな体を締められる。

 「うっ…あぁ!」

 紅葉を助けようと、俺も斬りかかるが、やはり傷一つ付けられない。
 おかしい……いつもはもっと簡単に倒せていたのに。だが、一つだけ辻褄の合う考えがある。
 こいつらは……

 「本物のホロウだ…!!」