二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.36 )
日時: 2009/12/26 21:13
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

36 応え
  紅葉 視点

 「俺の名は奏雀。お前の、斬魄刀だ」

 それを聞いた瞬間、私の頭の中で、ある不安が浮かんだ。
 私は斬魄刀を手に入れる事が出来た。でも、楓兄ちゃんは…? 斬魄刀の名前を聞けなかった楓兄ちゃんは、朽木さんに言うとおりに、彼女の斬られちゃうの?

 「そんなこと、ねぇよ」

 私の斬魄刀、奏雀は、私の考えを読み取ったのか、静かな声でそう言った。

 「だって双子は、特別な絆で結ばれているんだろ?」

 そして、あり方向に目を向ける。私も、そこに視線を映すと、緑の髪をした女の子が、楓兄ちゃんの前に立っていた。
 女の子は、私が見ている事に気付くと、ニコッと笑いかけてくれた。

 「俺の姉貴の醒竜せいりゅう。楓君の斬魄刀だ」

 醒竜という女の子は、ゆっくりと振り返って、ホロウと向き直る。そして、ホロウをキッと見すえると、次の瞬間、ホロウが爆発した。

 「さぁ、森を出よう、主人マスター

 全てのホロウが爆発すると、醒竜は楓兄ちゃんを抱えて、こちらへとやって来た。

 「行くぞ、姉貴」

 奏雀はそう言うと、森の外に向かって飛び立つ。醒竜も、それに続く。

 「ねぇ、奏雀……」

 「ん?」

 初めて会う人なのに、気軽に話しかけられる。普段は、すっごく人見知りが激しいのに……
 改めて、奏雀が自分の斬魄刀で、自分の一部なんだと感じた。

 「斬魄刀は…具体化するって聞いたけど……それは卍解を修得するためで、始解をするには自分が精神世界に行って、斬魄刀に名前を聞くのでしょう? でも、私達はなんで……」

 「俺達は実体化したんだ。具体化じゃねぇ」

 そこで言葉を切り、奏雀は少し難しい表情をした。

 「どうして出来たかは、分かんないけど、ただ、紅葉ちゃんを守りたいって強く思ったら出てこれた」

 そう言うと、「そうだよな?」と醒竜の方を向く。醒竜は小さく頷くと、奏雀の言葉に続けた。

 「でも、守りたいって気持ちは、奇跡を産めるんだね」

 そう言って、ニコッと笑った醒竜の顔は、とても眩しくて、なんだか遠くにいるように感じた。

 「ほら、紅葉ちゃん、楓君、夜が明けたよ」

 奏雀に言われて顔を上げると、目の前に紅い太陽が飛び込んできた。
 本当、今日は時間が飛ぶように、過ぎて行ったなぁ……
 そう思った次の瞬間、今まで続いた森は終わり、代わりに地上に広い平地が現れた。
 そして、奏雀と醒竜が森のはずれに着地すると、うれしそうな声が、私達の耳に届いた。

 「おかえり、楓、紅葉」

 朽木さんだ。

 朽木さんは、にっこりと笑うと、続けてこう言った。

 「あなた達なら出来るって信じてたよ」