二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第0話 突然の出来事 ( No.4 )
- 日時: 2009/12/25 21:09
- 名前: 日向 (ID: QPMsskdF)
1時限目の数学。あたしはシャーペンを弄っていた。
(全く、つまらない説明を長々と・・・・・・、飽きないのかな?)
そう考えながら机の上に置いてあるペンダントを見た。
金色の円形のペンダント。六芒星のマークがあって、周りに不思議な文字。
どっかの小説に載っている魔法陣みたいな形をしていた。
昔のことを慕っていた所に、先生の声が聞こえた。
「特に山根。お前みたいに赤丸0点ばっかり取ってると———」
「顔まで赤くなっちゃうぞぅ〜〜〜〜〜〜??」
隣の岸田がからかい、どっと笑いの嵐を呼んだ。
からかい対象の山根は苦笑していた。
「先生!」
あたしは立ち上がって、数学先生である今川先生に声をかける。
「何ですか?」
「魔法使ってもいいですか?」
「魔法?」
そう不思議に首を傾げる今川先生を無視し、あたしは机の中にあった赤い絵の具を出して右手に満面なく出す。
そして。
「それっ!」
「うわぁっ!?」
赤い絵の具が付いた右手を岸田の顔につけた。遠めで見ていた咲たちは驚きながら笑っていた。
「な、何すんだよっ!?」
「中村!一体何を・・・うわぁっ!!?」
止めに来た今川先生の顔にも絵の具が付く。そして、近くにいた細木にも被害にあった。
「山根。安心してよ、皆真っ赤だよ。あははっ」
そう高笑いした瞬間、
リーン・・・
「っ!?」
突然耳に入った鈴の音に頭痛が走った。思わず頭を抱えたあたしに、岸田はあたしの机を見た瞬間。
「頂きっ!!」
机に置いてあったペンダントを岸田が奪い、その後ろに細木も一緒に走っていった。
「あ、ちょっと!こらっ!!」
あたしは急いで岸田たちを追いかけた。
授業中の為、別のクラスの人たちは野次馬のように騒いでいたけれど、そんなのは気にしなかった。
岸田たちが旧校舎の修繕途中の工事現場まで来た時。
「あんた達返さないと、バレンタインにチョコあげないよ!?」
そう言いながらあたしは細木の腕を掴む。
捕まえたと思った瞬間、
リーン・・・
「痛っ!?」
さっきの鈴の音があたしの頭を痛くさせた。それも、最初よりも少し痛く。
「何なのよ、これ!」
そう文句を言いながらあたしはまた走り出した。
岸田たちを追い詰めたのは工事現場のギリギリの所。
下は崖になっており、落ちたら一溜まりもない場所。
「ちょっと、こら!」
岸田たちは崖近くまで来て、
「返してほければ、皆に謝れ!」
右手にペンダントを持ちながら謝罪要求する岸田に、あたしは無視しながら近づく。
「ったく、謝るのはあんた達のほうでしょ?!」
そう言いながら、岸田が上に上げている右腕に手を伸ばしながら無理矢理返そうとする。
(あれは、お母さんの形見。命より大事な大切な宝物。あたしの、【幸福】を取り戻さないと・・・!)
そう思いながらペンダントに手を伸ばす。
「オイ、危ねぇって」
岸田の声を上げた。その時。
「「「あっ!」」」
岸田が持っていたペンダントを落としてしまい、あたしと岸田たちは声を上げる。
あたしは、反射でペンダントに手を伸ばして上手く取った瞬間。
「「あぁっ!!」」
あたしは足を滑らしてしまい、ペンダントを持ったまま落ちてしまう。
「・・・っ!!」
あたしは目をギュッと瞑って、大声で叫んだ。
「わぁあああああああああ」
もう死ぬんだ、と思った瞬間。
リーン・・・
あの鈴の音があたしの耳に入った瞬間、あたしは意識を手放した。
二人の少年は、工事現場で呆然と立ち尽くしていた。
「オ、オイ」
「き、消えた・・・。消えちゃったよっ!!」
一人の少年、岸田はそう驚きの声を上げた。
先程まで悪戯をした少女のペンダントを奪って、取り戻そうとしてペンダントと一緒に落ちてしまった少女が、
まるでしゃぼん玉の様に———・・・消えてしまったから。