二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第0話 突然の出来事 ( No.6 )
日時: 2010/01/06 15:46
名前: 日向 (ID: 0wDrexNa)

恨めしいくらいに冷静に働く頭にため息を付いた後、あたしは立ち上がれば、青年も合わせて立ち上がる。
女にしては少し背が高いあたしより、青年のほうが少し高かった。
これは男女の差なのかもしれない。・・・・・・あ、何かムカついてきた。
「それより、あんた誰なの?いきなり現れてさ・・・・・・」
「誰、なんてつれないね。俺だよ、アルバロ。覚えてない?」
「見たこともないし、会ったこともないし、聞いたこともないし、喋ったこともない人に言う台詞?それ。そもそも初対面でしょ、あんた」
「はははっ!君、なかなか面白いね」
どこが面白いんだが・・・、と言いたげな目を送れば、アルバロと名乗った青年は苦笑しながら参ったというように両手をあげた。
ひしきりに笑うと、アルバロは先程と同じ笑顔で問いかけた。
「で、君の名前は?」
「・・・・・・中村リク・・・・・・」
脱線した会話にあたしは呆れ半分で渋々と名乗る。
すると、アルバロは難しそうに眉間に皺を寄せて困ったような顔をする。
「聞き慣れない響きだね。どこから来たの?」
「どこって・・・・・・日本だけど・・・・・・」
素直に返したけれど、それが逆にアルバロを困らせてしまったらしい。
さっきよりも眉間の皺を深くさせて、口元に手を当てて何かを考える様に黙ってしまう。
困ったあたしは、脳内で考え事をする。
(・・・・・・どうしよう。あれ?そういえば、スカートの中にケータイが入っていたような・・・・・・)
そう思いながらごそごそとポケットを探ると、向日葵柄にプリントされたケータイを取り出した。
開いて、ケータイのディスプレイを見ると【圏外】の文字が浮かび上がっていた。
(・・・・・・・・・・・・・・・え?)
血の気を引いたあたしは、慌てて電話を掛けた。
すると、プープーと発信がしていなかった。メールも試したが、エラー表示になってしまう。
何度も何度も試したが結果は変わらなかった。
「ああもう!!」
「・・・・・・何やってるの?」
苛立ってわしわしと頭を掻くあたしに、アルバロは呆れた視線を送る。
「見て分かんないの?連絡手段とか色々やってたの」
「へぇ・・・。そんな小さい物で連絡手段が使えるんだ?」
「まぁね。でも、使えなかった」
そういいながら、パチンとケータイを閉めてポケットの中に入れる。
「・・・で?何か思いついたことがあったの?」
そう問うと、アルバロは満足そうに笑う。
「・・・鋭いね。とりあえず、俺と一緒に来てくれる?」
「・・・・・・分かった」
そう返事した後、あたしは先に歩くアルバロの後ろを歩いていった。