二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Crazy Night  ( No.5 )
日時: 2009/12/28 15:28
名前: NOAH ◆p5CHNX570g (ID: QJ6Z1NnV)

EPISODE IV
  『いじめ心の本能』

  −零雅目線−

 僕たち2人はもうすぐ10才の誕生日を迎える。

 ………っとは言っても本当に2〜3ヶ月と近い訳ではない。
 今は春の月、僕たちは冬の月なんだ!

 僕たちって言っているのは皆の知っている通り、僕には双子の弟がいる。

 秘蛇って名前なんだけど、僕と違ってあんまり喋らない。

 弟には恥ずかしいって気持ちがあるのか知らない……、けどなぜか顔が赤くなってうずくまってしまう。

 この癖を克服しないとこれから大変だよぉ?秘蛇………。

 早速、僕たちの部屋から出て一直線に僕の方へ泣きながら走ってきた。

 僕の肩をがっちり掴む。

 「どうしたんだ?ってか何故泣いてる!?」

 「……………。」

 秘蛇は涙をボロボロ零しながら床を睨みつけていた。
 一体何が起きたんだよ…。

 「…………!?」

 僕は秘蛇が泣いている理由が分かった。

 秘蛇の左頬が覆いかぶさる程のガーゼが取れていた。
 あの十字架の印を隠すためのガーゼだった。
 もちろん僕にもある。

 ……秘蛇はまたアイツらに虐められたのだろう。

 すると、部屋から3人の男の子グループが出てきた。
 1人は剥がされたガーゼをヒラヒラとさせながら笑っている。

 「おぃ!いい加減にしろよ!」

 僕は秘蛇を庇うように背中に隠し、言った。

 「お前らみたいな呪われた奴に言われたくはないね。」

 「おぃ、千里。それはマズいって。」

 ガーゼを持っている少年の右側に立っている少年が言った。

 「おっと、そうだったなぁ!これは言ってはいけない禁じられた言葉だもんなぁ!」

 千里と呼ばれた少年は面白半分でわざとらしく大声で言った。

 さすがに外剥き出しの廊下での大声はかなり響いたらしい。

 とても広い中庭で遊んでいた孤児の子たちが声に驚き、近寄ってくる奴もいれば驚き過ぎて泣き出す子もいた。

 近くにいた司教様や院長先生は何事かと駆けつけてきた。

 院長先生の髪が乱れている様子からして千里が出した声は思っていた以上に響いたらしく、そのあと先生に院長室に呼ばれ、しっかり怒られたみたい……。

 数分して千里たちが院長室から出てきて僕らを見るとキッと睨んできた。

 けど、怒られたのが効いてるみたいで空気が重いまま、大人しくそれぞれの部屋へ戻っていった。

 その姿を見て安心したのがつかの間。

 僕たち2人は先生に呼ばれてしまった。

 先生は僕らが座ったのを見て、ため息をついた。


 「……千里たちを許してやってね。特に秘蛇君、一応注意しといたけど、またあの子たちがイジメたら私の所にすぐ言いに来てね。」

 秘蛇はなぜか少し照れながら軽く頷いた。


  そして翌日——————

 僕は先生に用事があったので院長室にいた。
 用事も済ませて部屋を出ようとし、ドアを開けた。

 すると目の前に秘蛇が立っていた。
 我ながら秘蛇にはある意味で驚かされる…。

 どうしたの、と先生がすかさず言った。

 けど、さすが秘蛇…。
 無口にも程がある……。
 わざわざ泣くのを我慢しなくていいのに………。

 にしてもまさかとは思うが………また……?

 秘蛇はどうしてなのか僕にだけ口を開くので先生の代わりに聞いた。

 すると、僕の耳元で囁いてその用件を聞いた瞬間に思わず苦笑してしまった。

 それを先生に言ったら呆れた顔で苦笑した。


 「また……ですか。注意して次の日ですよ…。早くないですか?」

 先生は袖捲りし、部屋から今までにないようなプロの走りを見せ去っていった。


 その姿を僕らはポカンっとして見送ったのだ。

 「ねぇ、秘蛇。いつ見てもあの走りは凄いよね…。」


 「…………ぅん。」


 「……反応薄くない?」


 イジメっ子もだが、秘蛇の事も色々と謎が多かった。

兄弟なのに知らないって……。

僕、秘蛇の兄弟失格だなぁ………。