二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

一話 羽を持つ者たち ( No.43 )
日時: 2010/01/25 19:42
名前: 迷鎖 ◆eVKFdGz9q2 (ID: xYJBB/ey)

「お前……誰だ」
  
 手を縄で縛られている黒髪ポニーテールの美少年、神田ユウが、少年を睨みながら言った。少年は、気分が良さそうに、鼻歌を歌いながらスキップして道を歩いていた。
 道とは、白い道。その周りには真っ暗な空間。下にも、上にも、黒が広がっている。今にも引き込まれそうなくらい下が遠いのが分かる。ヒュウウウ、と風が伝えば、誰でもそう思うであろう。
 
「言うか。言ったらお前、俺のこと殺すんだろう? ここで死んだら怒られる」 
「誰にだ」
「だぁかぁらっ! それは言えねェんだって! 馬鹿かお前! 馬鹿なのか!?」

 子供に怒鳴られると言う、みっともない姿を見せる神田。その後神田は黙り、少し考えた。

 ——そもそも、何で俺がここにいんだ? てかこのガキ誰だよ、コイツイラつくな。

 考えるだけでも腹が立ってくる神田は、なぜかどす黒いオーラを出している。表情もなぜか変わっている。

「ふぅん? 神田ユウ、ね……」
「ミルディスかよ……何のようだ」
「貴方方のボスさんに用事があって」

 ミルディスは、フフンとあざ笑うと神田たちの道の横の、黒い空間を通った。こうして見ると、空中に浮いているようだ。

「他の道から通れよっ!」
「これもあなたのボスからの命令。んじゃあ、私は先に行っておくわぁ?」
 
 ミルディスはウインクをしながら言うと、すぐ前を向いてさっさと歩いて行ってしまった。
 なぜか虚脱感が空しく漂った。