二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

一話 羽を持つ者たち ( No.68 )
日時: 2010/02/03 18:47
名前: 迷鎖 ◆eVKFdGz9q2 (ID: xYJBB/ey)

「たっだいまー……」
 
 一人の少年が、神田と共にロードの扉を通りながら不機嫌そうに言うと、

「あぁーっ! 超美形!!」

少年の後ろに居る神田を指差してから言った。
 何故少年が不機嫌なのかと言うと。ウィングメンバーである一人の女性が原因である。

「どうしたのゼッ君? 不機嫌そうよね?」
 
 ティキに乗ったミルディスが不思議そうに演技をしながら、ゼッ君と呼ばれた少年、ショートの黒髪に黒目の城崎絶ジョウザキゼツに声をかけた。
ミルディスは演技なだけに、明らかに暗い表情の絶を見ている顔は笑っていた。 

「絶ぅ、伯爵知んなぁい?」
「知った事かよ、俺が」
「どうもこんにちハ。おやおヤ? ミルディスも来ているようですネェ?」
「誰が来いと言ったのよ。時間はきっちり守るのよ?」
 
 絶が言うと、バァンと言う音が全体に広がり、そこの部屋に凄い突風が来た。
音の正体は普通の茶色の扉だ。シルクハットを付け、白いコートを付けている千年伯爵と言う人物が思い切り扉を開けたため、それと共に凄い風と音が来た訳である。
 その伯爵が、音が鳴って扉が閉まるとほぼ同時に言うと、ミルディスは不満気に声をたてた。ティキに乗ったまま、上から目線で。
先ほどまでノアと仲良くし、遊んで喜んでいたのは誰だか——。

「それはそれハ。失礼しましタ」

 伯爵がミルディスの声を聞き、被っていたシルクハットを丁寧にお辞儀しながら言った。
それを見ていたロード率いるノア勢は、

——流石紳士だなぁ。

と心の中でぼやいた。