二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 一話 羽を持つ者たち ( No.72 )
- 日時: 2010/02/05 20:53
- 名前: 迷鎖 ◆eVKFdGz9q2 (ID: xYJBB/ey)
「んで、何のようかしら。伯爵ぅ?」
ミルディスがテーブルに出されたワインを飲みながら言うと、伯爵が言った。
「そうですネェ……世界の一部分を、滅ぼしてほしいと言ったラ?」
「やるわよぉ? 私は几帳面だからね。指一つでできるけど……無力な人間共が来たら大丈夫かしら?」
伯爵が用件を伝えると、ミルディスはニヤリ、と笑って言うと、ティキの方を物欲しそうに見ていた。それを見ていた伯爵は、ニヤッと笑って言った。
「仕方ありませんネェ……ティキぽんを連れに行かせマス」
やれやれと言う仕草をしているが、顔が笑っている。
ティキは伯爵の言葉を聞くと、冷や汗を流しながら伯爵に一言。
「俺!? 勘弁!」
「やったあ! 大好きよ、伯爵ぅっ!」
ティキが言葉を放った後に、ミルディスは喜びの余り伯爵に抱き付きながら言った。
ノアの一族の記憶とウィングのメンバー色羽は、両方とも神が生み出した物である。そして、エクソシストと言う名の人間が持つ特殊な物、十字架もその神が生み出した物だ。
神の使途、ノアもまたそれに関係があるのだが。
夢と言う名の空間、夢と言う名の記憶。
「んじゃあ、いってらっしゃぁい」
「ああ、行って来るわ。ティキ、“早く”来なさいよ?」
「へいへい……」
ロードがニコニコと笑いながら、ミルディスに向かい、左手を振りながら言うと、ミルディスもそれに返事をした。ティキへのメッセージも混ざっているが。
そしてミルディスが行った後、ティキは準備を始めた。
今から扉を出るところ。そこにロードが話しかけた。
「ティッキー、死なないでよ?」
「……あの女と居る時点で死んでるよ」
ロードは、アレンが負わせたティキの怪我の事も気になってか、少し心配そうな顔をして言った。
ロードの発するその言葉に、ティキは驚いた顔をし、少し黙った後に、微笑んでからロードの頭をグシャグシャッ、と撫でてから言った。
「ん。後さぁ、そろそろ行ったら?」
ロードは、ティキの言葉に了解すると、時計を差してから行った。ティキが気付くと、ロードが指差した方向にとてつもない速さで首を向けた。
午後十二時五十分。ミルディスとの約束は一時。このまま走れば間に合うとかそう言うものではなく、ロードの扉では、近い国でも三十分しないと着けない。
ましてやここは英国、約束場所はアメリカと言う場所である。
「なんであんなに遠いんだよっ! 畜生千年公の奴……」
(愛おしい貴方を、消し去りたいの——)