二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 永久の残像  【REBORN】 ( No.12 )
日時: 2009/12/29 21:01
名前: まゆか (ID: TEX5izSi)

+第6夜【Fiamma di una lama e la rabbia della spinta per uccidere】+


「う゛お〝ぉい!おせぇぞぉっ!」


室内に足を踏み入れた途端、フランと雛に向かって、スクアーロが怒鳴り声を上げる。

思わず眉を寄せ、言い返そうとした雛だったが———————————


「うるせぇ」


と、不機嫌そうな声が耳に届いたかと思うと、スクアーロの頭に容赦なくワイングラスが投げ付けられた。

普通だったら、出血していてもおかしくはないような状況。
にも関わらず、当のスクアーロはワインで髪を赤く染めただけで、大した怪我はしていない様子だった。


ただ、—————————眉を寄せているため、痛みは感じているようだったが。


「もう、ボスったら!この子が怖がってるじゃない」


そんな声を上げたのは、やれやれと言った様子の男性———————のような人間だった。
初めて見る顔だが、きっとヴァリアー幹部なのだろう。



—————————————そう言えば、性別不詳の晴れのヴァリアー幹部の話を聞いた事があるな。



「........................別に、怖がってなんかいない」


そう呟いた雛は、ヴァリアー幹部 全員の視線を浴びながらも、ゆっくりとザンザスの元へ歩み寄った。

一歩一歩、慎重に足を進めて行く。
それは、決して恐怖を抱いているわけではなく、敵意を滲ませたようなものだった。


「てめぇが、絢浪 雛だな?」

「あぁ。お前は、独立暗殺部隊ヴァリアーのボス・ザンザスだろ?」


雛の問いかけに、ザンザスは鋭い瞳を向けて来る。

だが雛にしてみれば、その視線は〝そうだ〟と頷いたように思えた。
それを確信して、ずっと固く無表情だった雛の口元が、ゆっくりと綻ぶ。


「じゃあ、早速——————————」


そう言いながら、ニコッと天使のような笑みを浮かべる。
だがその瞬間、室内に居た全員が、すぐさま警戒の表情を見せた。


なぜなら、雛が浮かべた笑みは——————————




暗殺者ならすぐ分かる程の、とてつもない殺気を放っていたのだから。




「お前には死んでもらう」




    凄まじい衝撃  耳鳴りのような爆発音  幹部達のざわめき


様々な音に囲まれながら、雛は自分を見つめる赤い瞳を、静かに見つめ返した。


「.........................カスに、俺が殺せるわけがねぇ」


「本気でそう思うのなら、お前は救いようのないクズって事だろうな」


そんな互いの言葉に、二人は小さく笑みを浮かべる。


そして、ゆっくりと煙が薄れて行き—————————その瞬間、ヴァリアー幹部達の間に衝撃が走った。


無残に破壊された、ザンザスが座っていた机。


その傍では、刀を両手に握り締めた雛と、銃を持つザンザスの姿があった。


互いに、相手の武器を自分の武器で受け止めており、ギシッと嫌な音が生まれる。


「ボス!?..................おのれっ!」


そう声を上げながら、雛に背後から攻撃しようとしたレヴィは、その瞬間 奇妙な感覚に支配された。

まるで、襟首を掴まれて持ち上げられているように、呼吸が苦しくなって行く。


そして、チラリと足元を見ると——————————————————
自分の足が、宙に浮いているのだ。


目の前の雛は、確かにザンザスと対峙している。
だがレヴィにとっては、確実に〝居るはずのない誰か〟が居るように思えた。


と——————————レヴィの体が、勢い良く床に倒れ込む。

それを一瞥したザンザスは、その瞳を微かに細めた。


「お前.......................雲と、霧の波動が流れてるな」


「.....................ほとんどは雲だ。幻術は使えるが、〝彼〟程じゃない」


そう言いながら、雛が思いきり力を込めた瞬間——————ザンザスの武器が、数m先へ弾き飛ばされた。

ザンザスは、すぐさま憤怒の炎を出現させるが、雛の動きに一歩 遅れる。



そして雛は、ザンザスに向けて刀を振り下ろし———————————



「雛さん、止めて下さい!」



       

        止まった。




「消えろ、ドカス」



雛の動きが止まったのを見たザンザスは、とてつもない熱量の憤怒の炎を、手加減する事なく雛にぶつける。


続く。。。



タイトルの意味【殺意の刃と、怒りの炎】