二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 永久の残像 【REBORN】 ( No.6 )
- 日時: 2009/12/29 20:25
- 名前: まゆか (ID: TEX5izSi)
+第3夜【Un evento serale】+
しばらくして、スクアーロが頭を押さえながら、早足で戻って来た。
————————————————確かボスは、すぐに物を投げるとか。
「う゛お゛ぉいっ!ボスに確認してきたぞぉ。どうやらコイツは、正真正銘の新人らしい」
「.....................で、これからどうすれば良いんだ?」
「とりあえず、今日はもう寝とけぇ。話は明日、ボスからされるだろぉ」
そう言うとスクアーロは、廊下の奥へと去って行った。その後ろ姿を見送った後、ベルとフランも早足で去って行く。
広い空間に、ただ一人 残された雛。 ゆっくりと歩き出すと、自分の足音だけが反響して聞こえて来る。
———————————————雛には それが、とても心地良く感じた。
「今日から私も...................ヴァリアー幹部、か」
無意識に呟いた自分の言葉が、酷く心に突き刺さった。
********************
「...................これは、アイツの嫌がらせか?」
静まり返った廊下を歩きながら、雛は小さく呟いた。
「寝ろ」と言われたものの、肝心の寝る場所を教えられなかったのだ。
〝もしかしたら、自分の部屋があるのかも知れない〟と思い、こうして歩き続けているわけだが——————
いくら歩いても、同じような部屋が並んでいるだけ。
「このままじゃ、夜が明けるな................この際、廊下で寝るか?」
そんな事を考えながら、俯きがちに廊下を進んでいた時。
ふと、前方を〝何か〟が横切った気がして、雛は顔を上げた。
「あれ?..............雛さんじゃないですか。何してるんです?こんな所で」
目の前に居たのは、不思議そうな顔をしたフランだった。
後ろの部屋から出て来た所を見ると、どうやらここが自室らしい。
——————————————隠す程の事でもないか。
「寝ろと言われたんだが、寝る場所が分からなくてな」
「.......................って事は、あれからずっと起きたままなんですか!?」
「?...............そうだが?」
雛の言葉に、フランは驚いた表情を見せた後、「今、朝の3時ですよ!?」と口を開いた。
つまり、3時間は歩き続けていると言う事だろうか。
——————————————いったい、どれだけ広いんだ?ヴァリアー本部は。
そう思っていると、不意に腕を掴まれ、グイグイと引っ張られた。
パタンッと扉が閉まる音がしたかと思うと、目の前には、朝日によって微かに明るくなった部屋。
「雛さん、寝ないと体 壊しますよー?仕方ないんで、ミーの部屋で寝て下さい」
フランにそう言われ、雛はやっと状況を理解した。
そして、素早く部屋を出ようとしたが、フランによって手を掴まれる。
「...................どこ行くんですか?」
「........っ...........私は別に、寝なくても平気だ!良いから、手を離せっ!」
「いや、寝ないとダメですって。..............大丈夫ですよ、ミーは違う所で寝ますから」
どうやっても引かない様子のフランに、雛は小さく溜め息をつくと、壁際の方へと歩き出した。
そして、不思議そうに首を傾げるフランの方へと、振り返って一言。
「毛布か何か、貸してくれないか?」
その言葉で意図を察したフランは、どこからか毛布を取り出し、雛に向かって投げた。
一方の雛は、それを受け取ると壁に寄り掛かり、静かに目を閉じる。
「まぁ..................一睡もしないよりは、マシですよね」
そう言ったフランが、微かに笑ったような気がしたが—————————あえて雛は、何も言葉を返さなかった。
—————————————ヴァリアー幹部にも、お節介な奴が居るものだ。
そんな事を思って雛が小さく笑みを浮かべた事など、フランが知るはずもなかった。
続く。。。
タイトルの意味【夜の出来事】