二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師-光影の少女 ( No.35 )
日時: 2010/02/08 18:55
名前: 椿薔薇 (ID: p4jphIw6)

第十九話「善悪」

「ノックぐらいしてよー!寿命縮む!」
本を閉じると頬を大きく膨らませて言った。

「ごめん、電気がついてたから…アムール本読んでたの?ずっと」
山積みの本は全て錬金術関係の物だった。
眩いばかりの部屋で一時間近くずっと読んでいたのだろうか?
眠くないのか?そんなことを思いながらアルは聞く

「え、うん!そうだよ!寝れないから…さ」
笑顔だった、でも顔はどんどん暗くなっていき哀しみに満ち溢れた…恐怖におびえた…そんな顔だった。

「アムール?」
過去の辛い話をしていた時と同じ表情のアムールに、アルはただ立っていることしかできなかった

「夜は怖いの…夜は嫌…寝ていられないの。頭に出てくるの、白い…影。いや真理がまだ私の頭の中にいる…私に言ってくる。[大好きなお姉ちゃんを殺したのは誰だ?]って。[思い出してみろ、あの日の夜お前らは何をした?]って…」
唇を噛んで目を霞めながらアムールは小さい声で言う

「アムール…大丈夫。僕も、兄さんも怖いんだよ、やっぱり消えない…僕達の犯してしまった罪は一生消えない。でも…振り切らないと、前へ進めないから」
アルは励ますように、暖かくそんな言葉をかけた。
そう、彼らがずっと心に誓ってきたことだった…
深い傷は、罪は一生心から消えない。
でも新しい未来を、道を作るためには自分達が前に進まないといけない。。。

「…ありがとう。でも、前へ進むためには自らの罪に、向き合うことも大切だよね。
それに、私は錬金術を学んで…人体錬成という禁忌を犯して、お姉ちゃんの死で錬金術の悪をしったの…私はでも錬金術の善を信じてる…幸せの錬金術を…だから国を変えるの…私は国家錬金術師になる!」
アムールの顔は決意の色だった。
彼女は善悪が交互する国家錬金術師になる道を…軍の犬になることを自ら望んだ。
世界の、錬金術の幸せのために…