二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 ( No.34 )
- 日時: 2009/12/31 20:23
- 名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: IoxwuTQj)
Memory5 初の探検と仲たがい
スリーパーとの戦いを終えた私たちは、胃袋が破裂するんじゃないかと思うくらい夕食を食べた。いつもは、グミやりんご・木の実が夕食だけど、今日は私たちの初のお尋ね者退治を祝ってとても豪華な夕食だった。まず、オレンの実と黄色いグミを混ぜて作ったスープ。これは、人間の食べ物のカボチャの味がするのだと、チリーンが言っていた。その他にも、青いグミと緑のグミを混ぜて作ったソーダ、りんごのパイ……などと、目玉が飛び出るくらいの料理に、私たちは夢中になった。
雨が降ってきたのは、夕食を終えた直後だった。みんなで、「ぷはー、お腹いっぱい」とくつろいでいると、突然大きな雷の音がした。その雷が合図だったかのように、その後はバケツの水をひっくり返したかのような雨、雨、雨……。風も吹くし、ひどい嵐だ。
私たちは、大急ぎで各自のテントに戻ったのだった。
そして今。私とミニリュウは、テントの中で眠れずに縮こまっている。激しい雨の音、荒れた風の音、恐ろしい雷の音が響く中、のこのこ眠ってなんかいられない。
ザアアアァァァァ————! ピカッッビッガ———ン! ゴロゴロゴロ……。
「わあっ!」
私とミニリュウは、同時に声を上げた。
今の雷は、絶対どこかに落ちただろう。まるで、猛獣か何かが暴れまわっているような嵐だ。
「……それにしても、今日のミーシャの未来の夢はなんだったんだろうね」
不意に、ミニリュウが口を開いた。
思いがけない言葉に、私はうーんとうなる。確かに、あれはなんだったんだろう。……考えていると、ミニリュウが質問をしてきた。
「ねえ、夢を見た時ってどんな感じだった?」
「どんな感じって……。まず、めまいがした。そしたら、視界が暗くなって頭の中で光がはじけたような感覚がしたんだ。その後に、声が聞こえたり映像が見えたりしたよ」
「そっかあ。でも、私、“未来を見るメリープ”なんて聞いたことがないよ? メリープじゃなくても、こんな特殊な能力のあるポケモンなんて知らないし……。やっぱり、ミーシャが人間だったことと、関係があるような気がする。そういえば、ミーシャが海岸で倒れていた前の日も、こんな嵐だったんだよ。どう? 何か思い出せそう?」
ミニリュウの言葉を聞いて、私は外に出てみた。
ラベンダーやレンゲの花が、風に押されて斜めっている。でも、よく見ると押されているんじゃない。風に身を任せて揺れているんだ!
私も、自然に身を任せて思い出したい。過去を。忘れた過去を。自然の中で集中したい。
外に立っていると、雨に強く打たれ、その強さは小石を投げられているみたいだ。風も暴れまわっている。
目を閉じ、耳を澄ませてみた。風の音、雨が地面をたたく音、雷の音、木々がざわめく音……。いろんな音が聞こえる。
次に、ポケモンになってから今日までの日々を思い出してみた。たくさんの事があったな。楽しかったことや、辛かったこと。意外にもポケモンたちは優しかった。
——その瞬間。私の体の中をピリピリとした電流のようなものが走った。目を開けようとしても、開けられない。
頭の中に、ある場面が浮かんできた。
*
『ミーシャ、これで帰れるな。おれたちの本当の生活に』
『そうだね、“……”。やっと、本当の生活へ帰れる。“……”の知恵のおかげだよ』
『いや。これはおれ一人では出来そうになかった。おれとおまえだったから出来たんだ』
『うん。さあ、準備は出来た。行こう、“……”!』
*
な、何!? 今のは。私が誰かと話していた場面を思い出したのかな。どういうわけか、相手の名前が思い出せない。私自身も、相手の名前を口にしているけれど、そこだけ思い出せない。でも、「おれ」というからには相手は男?
気がつけば、もう目は開けれるようになっていた。私は大急ぎでテントに戻る。
「ミーシャ、やけに長く外にいたね。びしょびしょじゃない」
ミニリュウがびっくりした顔で言った。
私は、体をぶるりと震わせて水滴をはらうと、早口に外での出来事を話す。すると、ミニリュウは大きく目を見開いた。
〜つづく〜
☆長かったMemory4も終わり、やっとMemory5に突入です。ちなみに、ミーシャの過去の場面での“……”は、相手の名前です。そこだけ思い出せなかった、ということで。わかりにくくてすみません;