二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

一話 羽を持つ者たち ( No.16 )
日時: 2010/01/22 20:52
名前: 迷鎖 ◆eVKFdGz9q2 (ID: xYJBB/ey)
参照: 記憶と羽と十字架がぶつかりあって、今、火花が散る。  

「嗚呼。君の友達に人質になってもらったよ」

 子供は、かぶっているフードを取り、顔を見せながら真顔で言った。
 その姿は、紫色の大きな目に、黒髪で一つくくりにしている、女の子。黒いオーラを纏った、女の子なのだ。

「人質ねぇ……用件はなんだよ。できることなら教団に頼むさ」 
 
 ディオスは、刺された胸が痛いのか、座りながら少女の言ったことを聞き、笑いながら言った。
少女は、ディオスの言葉を聞いて、ニヤッと笑いながら、「流石だねぇ? 物分りがいい」と言った。
その後に、

「簡単さ。君に協力してもらいたい。そしたらあの嬢ちゃん、返すよ?」
「言ってくれるね……うん、やる」

少女が言うと、ディオスは唇を噛み締めて言った。その表情は、とても苦い表情だった。
 そして、しばらく黙ったままだったディオスは、口を開いて、「リナリー、ごめん……」と呟いた。


 一方教団では——。

「んうっ!?」

 食事中の白髪の少年——アレン・ウォーカー、通称アレンが奇声を出した。左目に異常が無いため、AKUMAを察知したとは思われない。
その奇声を聞いた肩につく、茶色の髪の少女、イヴ・ダウストリア。通称イヴが、「アレン、どうしたのよ?」と声を掛けた。その後にアレンが、

「いや……何か悪いことが起きそうで……」

と不安げに言った。その瞬間。「アレンー。ユウ知らなーい?」と言う声が聞こえてきた。
その声の主は九条アリス、通称アリスと呼ばれている少女であった。

「ユウ? 嗚呼、神田のことですか。僕は知りませんけど……またどこかで修行でもしてるんじゃ」
「そ・れ・が! 居ないの! どこにも居ないから言ってるんでしょ!」
「え……?」

 そこに居るアリスを除くエクソシスト全員同時に言った。神野アルス、イヴ、ラビ、そしてアレン。
ディオスとリナリーは二人一緒の任務、チャオジーとテッサイア・j・ロマーリオ、通称テッサイアは、単独任務。元帥方々はイノセンス探しに向かい、そして行方不明中の神田は勿論、今は居ない。

「まっさかぁ、ユウのことだから迷子になってるに決まってるさぁ」

と「冗談言うなよ」と言いたそうに笑いながらラビが言うと、皆が「ああ、やっぱそうだよ」と言いたげに話す。アリスが「甘い、甘いよ! 皆!」と言った。
その言葉に、全員が振り向いた。

「ユウがいくらなんでも迷いやすいからって、自分の暮らしてる場所を忘れるわけがないって!」
 
そこに居るエクソシストは、納得して少し黙る。



「ひっとりーつれられみんなはさわぐー」
 
 教団の大きな天井に、楽しげで、小さな声が聞こえた。自分の倍ある影を連れた、小さな影が一つあった……。