二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.19 )
- 日時: 2010/01/07 02:02
- 名前: song (ID: p17IpJNR)
第4話 ミステリック サイン
今日一日で私の人生は驚くような進展を遂げた。キョン(本名聞きそびれた)と今朝の事故で知り合ってから大きく私のココロは揺らいでいる。何がって、それは本当に色々……
思い出したくもなかった今までの生い立ちをキョンに打ち明けた共鳴感や、それによる私の生活の歪みを直すためにこの家に迎えられた新鮮感などなど……
何より、私がキョンに過去を打ち明けたことには自身が驚いてる。何かが、私にキョンを許したんだ。
「あらあら、いいのよ手伝ってもらわなくても」
キョン母は食器の片付けを手伝う私を見て言う。
「いえ、これからお世話になるんですし」
私は半笑いを浮かべ手を止めなかった。
「そんなにかしこまらなくてもいいんだよ。ひよりちゃんはもう内の娘なんだから」
「は、はい」
急に娘と言われて私は少し照れてしまった。と、そこへ……——
「お母さんーキョンくんは——? 」
妹ちゃんだ。
「あの子なら涼宮さんと出かけちゃったわよ」
優しく母は言う。
「えぇー! 今日はクリスマスだよー! 」
妹ちゃんはだだをこねた。
「確かにねぇ、困ったお兄ちゃんだよ。あ、そうだ!悪いんだけど、ひよりちゃんこの子の相手してやってくれないかい?」
唐突にキョン母は私にお願いをする。まぁ、それでキョンのいない穴を埋められるのなら越したことはない。
「あ、はい。わかりました」
私は了承し、妹ちゃんの手を引いてリビングへ向かった。
「綺麗ー……」
私は妹ちゃんの相手をしながらテレビに映るイルミネーションにうっとりしていた。
「これ近所ね。あの子達も近くにいるかも」
キョン母はテレビを台所から眺めて言う。
「え? キョンが……? 」
とたんに私はテレビをまじまじと見つめた。
見ると、ナレーションが所々イルミネーションの解説をしているらしく、BGMも相まって、その景色は一段と魅力的に感じた。
「兵庫県は神戸からご紹介するのは『神戸ルミナリエ』です。ここは、阪神・淡路大震災によって——……」
ここは私も見たことがある。光に揺らめく、まるで神殿のような祭典を家族で見に行ってたのを覚えてる。
「……………」
すぅっと息を吸い込み、私は言葉を失った。
今日は私ちょっと悲観的になりすぎている。
「ひよりん、どうしたの……? 」
すると妹ちゃんが私をなだめた。
「ううん。何でもない」
私は目の縁にこぼれそうな涙をすそで拭き、ムリヤリ笑顔を作る。
「……? 」
それでも妹ちゃんのリアクションは薄かった。
「大丈夫」
と、私が空回りを続けていると……——
『みくるちゃーん!!! 有希ー!!! 古泉くーん!!! 観てるー?!! 』
突然、テレビから女性の大声が聞こえた。
「な、ななな何?! 」
驚愕する私。恐る恐るテレビを観ると、そこには同い年ほどの女の子がアナウンサーのマイクをひったくってテンション高く盛り上がっていた。
「すげー……よくこんなことが出来るな……こんな娘の彼氏は苦労しそうねー」
嬉々と私はテレビに映る女の子を見て言う。
「あれ? この女の子……」
「知ってるの? 妹ちゃん」
すると、テレビからまた別の声が割って入った。
『おいハルヒ! 何やってんだお前! 』
『バカキョン! アンタも、家族に手ぇ振りなさいっ! 』
非常に聞き憶えのある声が聞こえる。
「え? ウソ……えぇぇえ!? 」
ついさっき、自分でキョンに『尻に敷かれた彼氏』と言ったのを私は即座に思い出した。
「あっ やっぱりだ! お母ーさーん! キョンくんとハルにゃんがテレビ映ってるーっ! 」
「ホントに? あらあら……」
苦笑いを浮かべるキョン母。
対して私は今までに無い経験をしたことに、ちょっと疲れた。
「仲が良いのは結構だけど……なーんか釈然としないわね……」
テレビに映るキョンとハルヒさんが切り取られた一枚絵のようにはしゃぐ姿は、ほほえましくもどこか引っかかりがあった。
「キョン……」