二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.22 )
- 日時: 2010/01/07 01:01
- 名前: song (ID: p17IpJNR)
「うわーッ! 綺麗ー! 」
今日びハルヒとクリスマスの町を行く。周囲はサンタの格好をしたお爺さんやら、分厚いトナカイの着ぐるみでのビラ配りなど、ソレ一色であった。
「そーだな……」
「ほらほら! 景色ばかり見ない! エスコートしてって言ったでしょ? 」
くったくのない笑顔でハルヒは俺の右手を握り、自分も見ろ! と言わんばかりに俺に顔を近づける。
「お、おう」
しかし、目の端に最も映るのはカップルの横列。いや、俺みたいな例もあるのだから、その全てがカップルとは言いがたいが、ともあれ北高校の生徒に今会うのは御免こうむる。するとハルヒは……——
「あ! あれテレビカメラじゃない? ほら! アナウンサーが身振りしてる! 」
テレビカメラを見つけた途端、一目散にそれめがけて走って行った。
「お、おい! ハルヒッ! 」
悲願空しく、俺の語りは破られる。まさかあそこまでするとは思っても見なかったのだ。
ハルヒはキャスターのマイクをぶん捕って全国区にピースをしてしまった!
『みくるちゃーん!!! 有希ー!!! 古泉くーん!!! 観てるー?!! 』
そんなこんなで約30分、俺のみがディレクターにこってり叱られ、陽々と行くはハルヒ。俺が叱れていることにはまるで無関心のようで……
「全く、何やってるのよ……もう7時回っちゃったじゃない! 」
「誰のせいで、俺が怒られたと思っているんだよ。ったく、今日は散々だぜ……」
俺は後者をハルヒに聞こえないように呟く。
「ん? 何か言った? 」
「いや何も。それより、行きたい店ってのは? 」
「うん。ホラ、あれよ」
ハルヒの指す方向を見ると、そこにはハルヒに似つかわない何とも可愛らしい呉服店が堂々とそびえ立っていた。
「……で、まさかと思うがあそこで俺にクリスマスプレゼントを買えと……? 」
「…………」
赤くなるハルヒ。全く、いつものことだが、素直に欲しい物があるのなら、事前に言っておいてくれれば良いのに……
「わーったよ。買ってやる。ホラ行くぞ……」
「うん……」
ハルヒはマフラーで口元と頬を若干隠し、それでも頬は赤らんでいることがよく分かる。俺はそっとハルヒの左手を握り、まっすぐ歩む。