二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.53 )
- 日時: 2010/05/06 17:26
- 名前: song (ID: vQ7cfuks)
さて、今日はひよりの紹介を経て団の活動は終了した。しかし、俺やひよりにとって、この上ない試練が続いているわけだ。そうれはどういうことかと言えば……——
「ねぇ……キョン。これからどうやって帰るの?」
ひよりのその言葉に俺は悪寒を感じた。
そう。現時点では、ハルヒは俺とひよりが一つ屋根の下にいることは知らない。そして、それがバレた時、どうなるかは賢明な方ならもうお気づきだろう。
「……ここは様子を見よう。ハルヒが一人で帰って行けばそれで良し。俺がハルヒを引き連れて、そのすきにひよりが帰っても良し。一番まずいのはハルヒとひよりが一緒に帰ることだ。もし、ハルヒがひよりの家を訪ねようものなら……」
俺は作戦を練りながら、ハルヒが身支度を済ませているところをひよりと見る。
「……そっか」
しかし、それを聞いたひよりの反応は薄い。
「どうかしたか?」
俺は不意にひよりに聞く。
「ううん。でも、家に帰ったら一つ質問したいの……いい?」
ひよりは俺の行動に懸念するように少し荒む言い方をした。
「あ、あぁ……」
ひよりの心情がよく掴めぬまま、ハルヒは行動を起こす。
「ひよりん! 一緒に帰りましょう!」
カバンを肩にハルヒはひよりの腕を掴んで引っ張って行ってしまった。
「わっ! ちょっ! ハルちゃん!」
拉致さながらに腕を掴まれ、よろけながらひよりはハルヒについてゆく。
これはマズい!
「お、おい! 待てよハルヒ!」
衝動的というか、必然的というか、何にせよ俺は当然二人を追いかけようとした。しかしその時——
「ちょっと待ってください」
俺を呼びとめる声が一つ。しかし、その視線は3人分あった。
「……なんだ? 古泉」
急ぐ俺はドアに手をかけながら問う。
「ひよりちゃんのことについて、私達から質問が……」
そう切り出したのは朝比奈さん。彼女は彼女でひよりのことが気にかかるようだ。
しかし、今の彼女の目は明らかに未来人としての朝比奈みくるが俺を見つめている。
「何でしょう……?」
おそるおそる、俺は口を開いた。
「キョン君がひよりちゃんと最初に出会ったのはいつですか?」
朝比奈さんは俺の予想していた問いからかけ離れた質問をしてくる。
「俺と……島尾が最初に会った時?」
「はい」
終ぞ、俺は朝比奈さんの質問を繰り返し、彼女の様子を見ていた。
「何を言ってるんですか。島尾と初めて会ったのは今日のホームルームの時……」
「違います!」
俺が答えをはぐらかそうとしたその時、普段の朝比奈さんからは到底想像だにしない大きな声が俺の言葉をとぎった。
「違います……キョン君、お願いですから、私達にまで嘘をつかないで下さい……ッ!」
すると、朝比奈さんは床に膝をつき、その眼からが大粒の涙がこぼれ落ちる。
「朝比奈さん!」
さすがに俺はいたたまれなくなって、彼女を会報した。すると——
「島尾日和……元北高校生徒。両親の都合上で一時期この学校を退学している」
長門が重い唇を動かし、ひよりの一身状況を口にした。その内容はもちろん俺も知っている。
「その略歴がどうかしたのか?」
俺はたまらず長門に問いかけた。
「これは悪まで『表向き』の彼女のパーソナルデータ。これはあなたも知っているはず。しかし……」
長門はいつぞやの封筒を俺の目の前に置く。
「どこに行ったのかと思えば、お前が持ってたのか、長門」
俺は懐かしさすら感じるこの封筒を手に取った。
そして、次の長門の一言で俺はすべてを理解する。