二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.61 )
- 日時: 2010/05/24 01:20
- 名前: song (ID: vQ7cfuks)
第8話 涼宮ハルヒの嫉妬Ⅱ
自分勝手なのだろうか。俺がひよりと一緒にいたいと思うことは。
俺の心はひどく葛藤し、あらゆるプレッシャーが追い打ちをかける。
一体何の映画だ。一人の少女を守るのか、ただ傍観して世界が救われる姿を見るのか……そんな大それた役を俺をやらせるなんて……
涙が止めどなくこぼれ落ちる。そんな時——
「泣いて……いるの?」
か細い声が俺を一瞬支えた。
「長門……」
俺はすぐさま声の方向へ首を向ける。
そう。古泉や朝比奈さんが帰ってもなお、長門はこの部室にいたのだ。
「落ち着くまでいてもいい。私もそれまでここにいるから」
何とも優しい言葉が長門から漏れた。
「……ありがとう、長門。けどもう大丈夫だ」
長門の言葉に励まされ、涙をふき、俺は何とか立ち上がる。
「……そう」
すると、長門も本を閉じて立ち上がった。
「帰るか」
俺の言葉に長門はうなずいて、カバンを手にする。
シンシンと降る雪は音もなく、けれど決して積もることなく解ける。
「……こんなにもシケた初雪があるんだな」
長門と下校する中、思わず俺は感じたままを口にした。
「雪は嫌い?」
長門は暗い空から降る雪に見とれているのか、天を仰ぎながら俺に聞く。
「いや、そんなことはない……けど、今日雪は嫌いだ。せっかく出来た結晶が一瞬で溶けちまうんだぜ?」
俺はこの雪に自分の積み上げてきたモノを重ねて考えてみた。
「…………」
しかし、長門は何も答えない。なぜだろうか。
「長門?」
不思議に思い、俺は長門に手をかざす。すると——
「一つ……約束して欲しい」
途端に長門は口を開き、俺を見つめる。
「約束?」
「……今、私はあなたの味方ではない」
割り切って出た長門の言葉がソレだった。
「どういうことだ?」
当然俺は追問する。
「そのままの意味。立場上、島尾日和の安否は優先してはいけない。けれど……」
「……けれど?」
もったいぶる長門に俺は焦って聞く。
「私はあなたの敵ではない。これだけは覚えておいてほしい。
だから……信じて」
ジッと長門は俺の眼を斜め下から見つめる。
「当たり前だ」
「…………」
俺は自身の中では当然であると思えた。俺が長門を信じるということは、長門は俺を信じているということだ。それを覆したりするようなことなど俺は決してしない。
「わかってる。だから、もしもの時は頼りにしてる」
現状、S〇S団は頼ってはいけない。しかし——
「……そう」
長門は答えてくれる。