二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.68 )
日時: 2010/07/01 23:10
名前: song (ID: vQ7cfuks)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

 家のかたずけ……ひいてはひよりの部屋の確保もままならないまま、一つ同じ部屋に俺とひよりは背を向けて目をつむっていた。
 
 ……眠れない

 葛藤、疑念、断裂。背と背の間はベッド一つの高さだと言うのに、ひよりとこんなにも距離ができるとは思わなかった。
「…………」
 何も言わずに俺は起き上がり、何気なく家の外へ出た。
 時刻は深夜2時。2,3㎝ほど積もった雪を眺めながら、白い息を堪能した。
「寒いな……」
 不意に声が出た。寒いのは身体か精神か、いやどちらもだろうか……しかし不思議と苦ではない。なぜなら——
「綺麗だな……」
 家は少し高台に建っており、そこから覗く街の景色は深夜にも関わらず光で満ちていた。どこか癒されていく気持ちが心からほとほとと溢れてくる。と、その時——

 ピピピ ピピピ ピピピ

 
「こんな時間に……誰だ?」
 携帯のアラームが俺の手をポケットへ誘った。
「もしもし」
 俺は携帯を通話にして電話に出る。
「もしもし……? キョン?」
 その声は少しこわばっていた。寒さからか、それとも他の何かからか。
「悪いなひより。目ぇ覚まさせちまったか?」
 電話の相手はひよりだった。俺は何の気なく謝り、会話が続くように話す。
「ううん。むしろ起きて良かったかも……街がとっても綺麗ー」
 おそらく俺の部屋から景色見ているでのあろう。
 ひよりの声に若干元気が戻った。
「こんな時間にどうしたんだ?」
 俺はひよりへの葛藤から、先に質問する。
「……うん。謝りたいと……思って」
「謝る? 何でだ?」 
 それから、数秒返事はなかった。俺にはひよりが何かを思いつめているように思えた。
「私さ……ばかだから気づくのにすごく遅れちゃったけど……やっぱりキョンにとってハルちゃんは特別な存在なんだよね。たぶん、ハルちゃんにとってもキョンは特別。アナタ達はとっても理想的な関係にあるの」
 ひよりに声がだんだんと力強くなる。
 前に古泉にも似たようなことを言われたな……そう言えば。
「待てよ……俺は何も気を使えなんて言ってるわけじゃないぞ。俺は俺だし、ハルヒはハルヒだ」
「そ、そんなこと言わないで! ハルちゃん、悲しむから……」 
 遠慮がちな態度を取り続けるひよりに俺は少し憐れむ気分になった。
「いいか、ひより。俺は俺。ハルヒはハルヒ……そんで、ひよりはひよりだ。自分の思うようにすればいいんだ。お前は……何をしたい?」
 俺は優しくひよりに問う。
「私は——」
 途切れる言葉。
「私は——ッ」
「ん?」
 途端、ひよりの声は張り詰めた。

「キョンのことが好きなの——ッ! 」