二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 涼宮ハルヒの嫉妬 ( No.71 )
日時: 2010/09/02 10:01
名前: song (ID: kulimlUM)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

 ツーツー……
 ひよりのその一言を聞き終えると、俺が何かを言う前に通話が切れた。
「……そっか」
 俺は携帯を持った手を下ろす。
 何となくだが、気づいてはいた。しかし気づいてはいけない感覚があった。当然、ハルヒのこともあるのだろうが……何だろう? それだけじゃない気がする。
 何はともあれ、ここ3日で俺は2回も告白された。これが俗に言うモテ期なのだろうか。しかし、冗談にざれこむ余裕もない。
「寒いな……戻るか」
 冷えた手に息を吐いて玄関のドアノブに手をかける。ところが……——
「あれ? 開かない……?」
 玄関がなぜか開かない。当たり前だが俺が自分で閉めるわけもなく、鍵だって持っていない。
 そこで俺がまず思い浮かんだのは——
「いやいや……いくらんでも気まずいだろ」
 俺は携帯を再び手に取り電場帳の画面の『島尾ひより』で手を止めた。
 しかし、他に方法もない。俺は泣きそうになりながら出来るだけ無心になってひよりの電話番号を選択した。
 プルルル プルルル
 呼び出し音が異常に重みがある。電話に出て欲しいような欲しくないような……すると、
「もしもし」
 ひよりの声はものすごく小さかった。
「もしもし。悪いんだが玄関の鍵開けてくれるか? なぜか閉まってるんだ」
 まるで俺がひよりを誘い出しているみたいだ。
「……わかった。ちょっと待ってて」
 そういうと、電話が切れる。
 
 非常に気まずい

 ひよりが玄関の鍵を開けてくれる数秒間、これほど時間を止めてくれと思ったことはない。
 しかし妙だ。いつまでたっても鍵が開くようすがない。俺は変に思い、もう一度ひよりに電話しようとする。すると——

 ピピピ ピピピ

 電話が鳴る。ひよりからだ。
「もしもし……どうしたん——」
「キョンはさっきの電話、どう思った? やっぱり私と距離を——ッ!!!」
 ひよりの強張った声が携帯越しに聞こえた。いや、それ以前に玄関から聞こえたのだが。
「落ち着けって! 気持ちは分かるが、とりあえず玄関を開けてくれ。寒い」
 俺は割と落ち着いていた。というか、今は早く暖をとりたい。
「……そうね。じゃ、じゃあ私の質問に答えてくれたらいいよ」
 案外ひよりが腹黒いことを今日俺は知った。
「き、汚ねーぞひより!」
 なぜか無性に自分が情けなくなってきた。
「うふふっ 大丈夫だよ。根も葉もない質問するわけじゃないから」
「そ、そうか」
 正直早く家に入りたい。だからこそ、次のひよりの質問は俺にとって最悪だった。