二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: †光の道†【学園アリス】 9話up〆 ( No.60 )
- 日時: 2010/08/21 13:13
- 名前: 卍樹愛 ◆z/nee8jSw. (ID: C4aj9LgA)
*10話—蜜柑side—*
「はぁー…」
初校長に貰った
治癒のアリスストーンを
握りしめながら、ため息をつく。
先ほどの任務で足を
怪我してしまったからだ。
というのも、蛍の事を
考えていて任務に
集中できなかったので、
敵の攻撃を無効化しきれなかった。
・・・・・蛍は今どうしているだろう。
本当、うちはバカだ。
自分で決めたことなのに、いつまでも
暗い顔して、蛍に心配かけて。
蛍に心配してもらうために、危力系に
入ったわけじゃないのに・・・。
次に会った時は、明るく話しかけよう。
いままでのように。もう、蛍に心配かけたくない。
強くなるから———。
「——わっ?!」
突然、誰かに後から腕を掴まれた。
吃驚して振り返ると、棗が怖い顔をして立っていた。
「な、棗・・・」
ガンッ と鈍い音と共に、棗に
頭を殴られた。
「っ痛——!! なにすんねん! このアホッ!!」
「アホはてめーだ!! いままでどこ行ってたたんだよ!
心配させやがって このブス!!」
え・・・? なんで棗が・・・———。
「・・・今井がお前のこと探してた。
“蜜柑がどこにもいない”“一緒に探して”って」
「蛍が・・・・・?」
蛍も棗もうちの事を心配してくれた。
2人の優しさが伝わってくる。
・・・でも———。
「お前のやってる事なんて、俺も今井も
とっくに気づいてる。何でこんな事やってんだよ」
うちは俯いたままだった。理由を言ったら、
きっと棗はうちを辞めさせるようにペルソナに言う。
そしたら、また棗が任務をしなくてはならない。
それだけは絶対に・・・!!
「誰かに脅されたのか?」
どこか、力無い声で棗は聞く。
うちは黙ったまま、首を横に振る。
顔を上げることすらできない。
もしかしたら棗は悲しそうな顔を
してるかもしれない。そんな棗の、
顔を見たら、
目を見たら、
声を聞いたら、
うちは負けてしまう。
きっと、本当の事を言ってしまう。
「じゃぁ、何でこんな事してんだよ」
「・・・・・ウチは・・!」
思い切って顔を上げると、
棗は悲しそうな悔しそうな顔をしていた。
そんな顔しないで棗・・・。
でも、そうさせたのは自分だ。
今まで棗は、うちが危力系に入らないように
初校長に頼んで任務をこなしてきた。
それを、うちが壊した。
棗の努力をうちが水の泡にした。
棗の命を無駄にしてしまった。
でも、そうでもしないと
うちは棗やみんなを守ることができなかった。
「ウチは・・・みんなを守りたいねん」
棗みたいに強くないけど、
うちにもみんなを守る事ができる。
「うちが危力系に行くことで、
みんなが辛くなくなるんや・・・」
うちが危力系にいく事で
逃亡に加担してくれたみんなや、
棗・蛍達が少しでも辛くなくなる。
そう、思いたいんだ。
でないと、また迷ってしまう。
振り出しには戻りたくない。
自分が決めた道を、
まっすぐ迷らずに進みたい。
「・・・・棗、心配してくれはってありがとうな!
うちは大丈夫やから」
あの頃の、満面の笑みを棗に向けた。
もう、心配はかけたくない。
「——蜜柑!」
後から、うちを呼ぶ声。
振り返ると蛍が心配そうな顔で走ってきた。
*10話end*
[2010/08.21]