二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 夢の中の俺はモンスターハンター 10話更新 ( No.14 )
日時: 2010/02/21 18:01
名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)

11話
   起こりえている現実





「はぁ〜、歌った歌った」

「・・・そうだな」

カラオケの帰り道、皆が笑う中一人だけ元気のない男、和也だ。
原因はもちろんカラオケで負けて、代金を支払わされたこと。

楽しいその一時、人が行きかう街中、その中で竜人は見慣れた異形な姿を目にする。

「あれは、そんな」

それは細い路地へと入っていく。

「竜人」

暮羽が呼ぶ。暮羽にも見えたらしい。二人は頷くと駆け出した。

「あ・・あれ?竜人、暮羽、どこいくの!?」

いきなり走り出す二人に亜美が問いかける。竜人は走りながら

「悪い、少しそこで待っててくれ!」



細い路地を進むとそこには怪しげな男が立っていた。

「ん、君たちは?」

すると、男が持っていた機械から妙な音だ出始める。
それを見て男は感慨深い顔で

「君たち、最近妙な夢を見てないか?」

「??」

男の妙な質問に理解できない二人。それを見た男は、ああそうかと言う顔で

「失礼、まだ名乗っていなかったな。俺の名は安藤 刹那(あんどう せつな)。
いっても信じてもらえないかもしれないが一応哲学者だ」

「・・・うそくせえ」

竜人がそう言うと刹那は笑いながら

「仕事仲間にもよく言われるよ。さて、そんな俺がこんな所にいる理由だが、
最近、世界の成り立ちを研究する俺らだが、研究所の機械が不思議な
地軸のずれを感知しているんだ」

「地軸のずれ?」

暮羽が言うと、刹那は話をもとに戻した。

「ここから先はさっきの質問に答えてくれたらにするか」

二人は顔を見合わせた後

「俺たち二人とも眠ると何故か知らんがゲームの世界を体験する夢を見るんだ。
その中では俺たちの意識はしっかりとしていて、起きているのと同じ感覚でその中で過ごすんだ」

「それは2ヶ月くらい前からか?」

刹那の問いに暮羽は少し驚いた様子で

「なんで分かったんですか?」

「・・・さっき言った地軸のずれを感知し始めたのがちょうど2ヶ月前からだったからだ。
それが、つい最近になって異常に反応している。俺はその調査のためにここにきた」

「その地軸のずれってのは何なんだ?」

刹那は少し間を置いて

「パラレルワールドをしっているだろう?」

「私たちの世界と併存するとされている並行世界ってやつですよね?」

話の流れが読めずおぼろげに答える。刹那は頷くと

「実際にはちょっと違うが、まあそんなところだ。
並行世界は限りなく存在する。今よりはるか未来の生活が今現在行われていたり、
恐竜が生きている太古の世界だってあるかもしれない。

だが、そのように形あるものだけではなく、形のないものも存在する。
例えば仮想空間、ゆうなれば夢の世界。例えばプログラムの世界、ゆうなればゲームの世界。
知らないと思うがこんなものも並行世界の内に入るんだぜ」

「夢の世界。ゲームの世界・・・」

「今原因不明の並行世界同士の衝突のようなものが発生しているんだ。
これが何を意味しているか分かるか?」

二人は押し黙る。すると刹那はやれやれといった感じ

「それじゃあ、分かりやすいように例えば見よう。
並行世界すべてをひっくるめたのをゲーム機本体、多くの並行世界をゲームソフト、
時間の流れをメモリーとしよう。

ゲーム機に俺たちの世界というゲームソフトを入れてスタート。長い年月でどんどんメモリー
が溜まっていく。ゲームオーバーはこの星の寿命が迎えるまで。

だけど、プレー中に他のゲームソフトを無理やり入れ込んだらどうなる?」

「・・・ゲームーオーバーを待たずにゲーム機本体がぶっ壊れる」

話の内容がだんだん読めてきて冷や汗を流す。

「そう、ゲーム機が壊れれば他のゲームソフトを使えなくなる。つまりは完全なる消滅ってやつだ。
それが、今現実に起こっている」

機械は今だに鳴り続けている。

「これは地軸のずれを感知して教えてくれる機械だ。この場所に反応しているのか、
はたまたお前たち二人に反応しているのか、どっちなんだろうな?」

刹那は怪しい目でこちらを睨む。

「何が言いたい」

竜人は暮羽の腕をとり後退る。

「もし、もっと早くこの事に気づいていればお前たちを殺すかすれば
元通りになっただろうが、もうそんな事じゃあ元に戻らない処まできちまっている。
お前たちには元に戻すために協力をしてもらうぞ」



「あ、戻ってきた。お〜い」

亜美が手を振りながら待っている。他のみんなもだ。

「ああ、悪いな、待たせちまって」

「・・・?そうしたの暮羽。顔色悪いよ」

亜美が心配そうに覗き込む。暮羽は笑顔で

「ううん。何でもないよ」

「でも、笑顔が固い・・・」

その言葉に一瞬怯むが

「歌いすぎて疲れてるのかな。でも本当に大丈夫だよ」

そんな姿をみていた洸矢が

「せっかくだし、このまま飯にいかないか?ちょうどその時間帯だし」

それに賛成と言わんばかりに亜美が飛び跳ねる。

「それいいね。私もお腹減ってきたよ〜」

「二人とも、それでいいか」

暗い顔をしていた二人に問いかける洸矢。二人を気遣っての言動だろう

「ああ、それじゃあこれも和也の奢りな」

「なんでだよ!!?」

「決定だな」

「えっ、ちょと」

「たらふく食うぞぉ〜」

「あ、あの〜、聞いてます?」

「どうせなら、洒落た店がいいな〜」

「・・・横暴だ〜〜!!」