二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 夢の中の俺はモンスターハンター 12話更新 ( No.18 )
日時: 2010/03/12 20:32
名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)

13話
   幻と現実の狭間




竜人は吹雪の中、ぼんやりと見える景色に向かって走った。
雪が顔に当たり痛くても気にせずに進み続ける。

そして見える景色が目の前まで来たとき、竜人は我が目を疑った。
自分が今立っているのは雪の中ではなく街中。
あたりには人がざわめき、車が通っている。」

だが、誰も竜人の姿を見ようともしない。誰も竜人の姿が見えていないんだ。

「これが、村の人が見たっていう幻か」

竜人が辺りをしきりに見渡す。その時不意に寒気がして後ろを振り向く。
するとある男女の団体が歩いているのが目に入った。
その中の一人の男が自分と目が合う。あちらには自分が見えていないはず。だが
男は顔色を変えると近くの女子と一緒にこっちに向かってきている。

竜人は無意識のうちのその場から逃げた。近くに細い路地があったので
そこに逃げ込む。しかし、路地に入った瞬間に足が止まる。

「ん?急に反応が強気なったな」

男がそこで何やら妙な機械を持ってぶつぶつと呟いている。
すると不意に男はこちらを向いた。まるで自分を睨んでいるかのように。



「竜人危ない!!」

突然の叫び声と共に周りの景色はまた雪山に戻った。それと同時に聞こえてくる妙な音。
何かが降りてくる、そんな音。

「竜人逃げて!!!」

その声で意識がはっきりとなった竜人はその場からすぐさま離れた。それと同時に
空から現れる、モンスター。

「こいつは・・・・」

目の前のモンスターと対峙するのは今回が2度目。最初は何もできずにいたモンスター。

ティガレックス。

「竜人、大丈夫!?」

暮羽が雪に足をとられながらも近づいてくる。その顔は心配そうな表情で一杯だった。

「暮羽。お前大丈夫なのか、休んでなくて」

「・・・・・」

竜人の言葉に暮羽に立ち止まり体を震わせている。先ほどまでの顔とは一変して今度は怒りで一杯だ。

「あ・・あの〜、暮羽さん。何をそんなに怒っているでしょうか?」

恐る恐る尋ねる竜人。そこで暮羽の中の何かが切れる。

「大丈夫?は私のセリフよ!!いきなり一人で行っちゃうし、
ティガレックスが迫ってんのに竜人突っ立ったまま何の反応もないし!!!」

「わ・・悪かったって。でも・・・」

滅多に怒らない暮羽が声を大に叫ぶ。さすがの竜人も大きく出れない。

「でもじゃないよ。人にさんざん心配かけといて」

声のトーンは落ちているが怒った感じは抜けていない。どこか寂しそうな感じもした。

「本当に悪い。だから後でいくらでも怒鳴られてやるよ。こいつを倒した後でな。
・・・だからその涙も止めといてくれ。泣いてる奴と戦うなんてしたくないしな」

竜人の言葉に暮羽ははっとなると、急いで目を擦る。自分では気づいていなかったようだ。
暮羽は涙を拭くと片手剣を構えた。

ティガは構えるとバインドボイスを放った。二人に前回同様の感覚に陥る。
だが、それでも二人はすぐに動き始める。
竜人は右、暮羽は左に動く。ティガは竜人の方を向くと噛み付き攻撃をしてくる。
それをかわしながら頭に攻撃を仕掛ける。暮羽もがら空きの尻尾を中心に攻め立てる。

ティガはそれに対応して回転攻撃をするためにその場で足に力を込める。
それを見た暮羽は即座に盾を構える。竜人も後ろに引く。

ティガが高速で回る。暮羽はガードをしたものの反動で後ろに飛ばさる。
その隙にティガは雪玉を飛ばしてくる。それもガードするがスタミナが持たない。

その時竜人が間合いを詰め攻撃にかかる。その攻撃で仰け反ったティガは足踏みをすると
バインドボイスを放った。だが、さっきの威嚇のとはわけが違う。
近くにいた竜人はバインドボイスを受けダメージを喰らってしまう。

さらに追い討ちをかける様に突進をしてくる。
太刀じゃガードは出来ないためもろに喰らう。

「がはっ!」

竜人は口から血を吐き倒れこんだ。その時辺りに妙な音がする。
ティガはその音の鳴るほうに向くと、そこには暮羽が角笛を吹いていた。

ティガはそちらの方に突進をする。ティガがある程度進むと突然動きが止まる。
見るとティガの足元にはシビレ罠が発動している。

「随分と準備がいいな。今回は狩りが目的じゃなかったのに」

「まぁね。それよりも早く回復して。時間はあまりないから」

竜人はそぐに回復薬を飲み干しティガに向かおうとしたが遅かった。
罠から脱出するとティガの両腕が赤い文様が浮き始める。
これはティガがキレた時に出るもんようだ。

—ギャアアァァアアアウ!!!—

ティガは今までにない声で叫ぶと真っ直ぐ目の前の敵をにらみ付けた。