二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 夢の中の俺はモンスターハンター 18話更新 ( No.35 )
- 日時: 2010/07/08 14:14
- 名前: アビス (ID: 4K4kypxE)
19話
酔いどれ爺と危なげな少女
「船なんて初めて」
「俺もだ。潮風が心地良い」
竜人と暮羽は今、船の上にいた。理由はもちろん、龍使いのハンターが
現れたという平地、通称『ゲヘナの奥地』。
ここは危険モンスターが多すぎて、一般には進入禁止となっている所だ。
とりあえず2人はその近くの村まで行こうと、船に乗ったのだ。
「それにしても、その龍使いのハンターてのは何で俺らのこと知ってんだろうな?
異世界のハンター・・・か。確かに俺たちはこの世界の人間じゃないしな」
「ん〜〜。知ってたんじゃなくて、もしかしたらその人たちも私たちと同じなのかもね」
「・・・ありえなくもないけど、無理やり過ぎじゃないか?それ・・・」
「うるせえぞ!!餓鬼ども!!!」
二人の会話に酒を飲んでいた上半身ほぼ裸の酔っ払いが口を差す。
「こちとら、二日酔いで頭が痛いんじゃ!!!静かにしねえと海に落とすぞ!!!」
「・・・・!!じいさん、後ろ!!」
酔っ払いに一瞬眼を付けたが、すぐ後ろに海から現れた小型のガノトトスに目を移す。
ガノトトスは船に向かってブレスを吐く。そのブレスが酔っ払いを捉える。
「じいさん!!!」
竜人が叫ぶが間に合わず、酔っ払いに直撃する。・・・したのだが
「痛いの〜、青いの!」
酔っ払いは平然と立っていた。腹が部分には僅かに流血していただけで、その他は無事だった。
「今ので酔いがすっかり醒めてしまったわい!この落し前・・・」
すると突然酔っ払いが走り出した。さっきまでの酔っ払いとは別人の動きをでガノトトスの
いる水上までジャンプすると拳を固める。
「その命で払ってもらうぞ。・・・・紛!!!」
酔っ払いがガノトトスの頭を殴りつける。たったそれだけで、ガノトトスは巨大なハンマーに
殴られたような衝撃が走り、たったそれだけでガノトトスは絶命してしまった。
だが絶命する寸前、最後の悪あがきで酔っ払いに猛タックルした。
酔っ払いはその勢いで甲板に激突する。ガノトトスはもう動かないが、酔っ払いはすぐに起き上がる。
「たっく、あの青いの!最後にやってくれよって!!」
「おいおい、拳骨一発でモンスター倒しちまったよ」
竜人たちが目を丸くしていると、酔っ払いはこちらを見た
「なんだ、小僧も喰らいたいのか?ワシの鉄拳を・・・」
竜人が一瞬慄くのを見て、酔っ払いはガハハハ!、と笑った。
「冗談じゃ、ワシの鉄拳を喰らったらいくら防具を身に付けてようが脳天かち割っちまうからな!!」
酔っ払いはよいしょと立ち上がると、二人に歩みよる。そこにいるのは先ほどまでの
酔っ払いではなく、一人の強者が立っていた。
「ワシの名はガント。ただの旅人じゃ!餓鬼ども、何故それほどの重荷を背負っている?
止めとけ、餓鬼が背負うにゃ重すぎじゃ」
ガントと言う男はまるで、自分たちがどんな境遇にいるのか知っているような口振りで言う。
「人には言えないことだ。ただ、俺たちはその重荷とかのを降ろすつもりはない」
暮羽も同意するように頷く。ガントは酒を飲みながら二人を見つめる。
「なるほどな、お前たちはゲヘナの奥地に行きたいんじゃな?」
「!!!。なんでそれを!?」
竜人が驚き尋ねるが、それを無視しガントはさらに続けた。
「あそこは未開地。新種のモンスターはもちろん、ただの雑魚モンスターもあそこじゃあ
飛竜種と同等の力をもつと言われる。まあ人間が踏み込んでいい領域じゃねえなぁ」
「・・・何であんたはそんなに詳しいんだ?
さっきの超人離れした動きといい、あんた一体何者だ?」
竜人の問い詰めにガントはふ〜、と大きくため息をつくと
「あそこに詳しいには当たり前じゃろう。あそこはワシの生まれ故郷じゃからな。
これぐらい動けんとあそこで生きてくには厳しいからの。
・・・いいか、最後の忠告じゃ。あそこには絶対入っちゃならんぞい。
ギルドの阿呆共はズカズカ入ってきとるが、あんな奴らもう知らん。
とっととモンスターに食われちまえばいいんじゃ」
最後の言葉を吐き捨てるように言うと、男は去って行った。
と、いうのも竜人たちが話している間に船はすでに港に着いていたのだからである。
——————————
「とりあえず、情報収集からだな。別れてやったほうが効率いいだろ」
「うん、そうだね。それじゃあ三時間後、集会場に集合ってことでいい?」
「ああ、わかった」
村に着いた二人はとりあえず、龍使いのハンターに関する情報を探ることにした。
ここはゲヘナに二番目に近い村なので、それなりに情報が集まるのではと考えていた。
「とりあえず、集会場で情報集めしてみるか。あそこならハンターたちからいろんな情報が聞けそうだしな」
竜人はそう呟くと歩き出した。だが、すぐにその足を止めた。
「おい、なんだこの餓鬼は?」
先ほどまでガントに餓鬼餓鬼言われてたので餓鬼という言葉が耳に敏感に入ってくる。
見ると男二人の前に小柄の水色の髪にショートカット。大きなマントで体を包んだ何者かが、目の前に立っていた。
「お兄ちゃん達、誰?」
声がやけに高い。まだ年端のいかない女の子であることがわかった。
「誰って、おい餓鬼!普通は自分から名を名乗るものだろう!?」
大人気もなく男が女の子に詰め寄る。それでも女の子はまったく動じず、男を見つめ続ける。
「自分?自分は・・・誰?」
「はあ?」
女の子の不可思議な回答に男が漏らす。
「お・・おい。もうこいつに関わるのよそうぜ」
「あ・・ああ。そうだな。なんだか気味悪いしな」
男二人はそそくさとその女の子のそばから離れる。それをみた女の子は手を伸ばし
「待って、待ってよ!置いてかないで、置いてかれるのは・・もうやだ!!」
「大丈夫だよ。俺がここにいてやるから」
突然の後ろからの声に女の子が振り向く。そこで初めて女の子の外見が見れた。
異常に白い肌に今にも折れてしまいそうな細い体。
白い肌には目立つ深紅な瞳は混沌と純粋の両者を見据えているようだった。
「あなた・・誰?」
女の子が先ほどの男たちと同じ質問をする。その質問に竜人は出来る限り丁寧に答える。
「俺の名前は霧崎 竜人。ちょっと訳合ってこの村に立ち寄ったハンターだ。君の名前は?」
「はんたー?」
竜人の質問に答えず、女の子はさらに質問を重ねる。
「ああ、ハンターだ」
真面目に答える竜人だったが、次の女の子の言葉でこの女の子に訝しげな表情を見せる。
「ママが言ってた。ハンターはママたちの敵だって。ハンターはママたちを殺す。
だからママたちも殺さなきゃならない対象だって」