二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 銀魂-白百合の旋律-〔日向篇〕 ( No.233 )
日時: 2010/04/21 18:12
名前: 椿薔薇 (ID: zc76bp3U)

第壱四訓「狂い、静寂の刻…刃を向ける」

「白刻!どうするアルか!?」
神楽は走りながら手前にいる白刻に聞く。
すると何も言わずまず指を前へ向けて言った。
「あそこの窓から飛ぶ」
平然と言ったその言葉だったが、あそこの窓というのは白刻の指さす20m先にある大きな窓のことである。

それには、飛ぶ。という隣の建物が見える…
そこに司の上にいる黒昌磨璃沙などがいるのである。
「飛ぶって!!落ちちゃいますよ!」
新八は即座にそう言うが
「心配するな、大丈夫だ」
何の迷いもなくそう答える。

その言葉に新八は横を走る神楽と銀時を見る。
そして思うのだった…
「(神楽ちゃんは余裕なんだよな…銀さんもあの人なら大丈夫だろうし、僕だけ!?)」

心配そうに新八は白刻の後姿を追うが、はっきりといって白刻がどれほどなのか誰もしらない。
だがしかし、司も言っていたように白刻は有名なんだそうだ。
だが先ほどから攘夷志士やら白百合やらまだ白刻の口からは発せられていないものばかりで呼ばれている。

「(まぁ、攘夷志士だかなんだかならいつも会ってるし…)」
なんてことを思いながら、今は白刻の言葉をしんじるしかない。
そう決め、少し遅れた足を速めた。

「新八ィ大丈夫か」
銀時が振り返って聞く。

それに大きく頷き前を向くと窓がもうすぐそこに近づき、白刻はなんだか神楽と話しをしているようだった。
「神楽ねぇ、3mぐらいに近づいたら窓撃って」
傘を見ながらそういう白刻に神楽は笑うと頷く。
「まかせるネ!」

そして…
神楽が傘を引くと前を走っていた白刻が横に避ける。

「うぉらァァァァァァ!!!」

神楽の雄叫びと一緒に大きな窓の割れる音…轟音が響く。
煙の中に勢いよく入ると助走を着けるように神楽も銀時も、白刻も少し速く走りだし…

飛んだ


その瞬間白刻は右手を振り後ろを向く。
すると巻いていた包帯が生き物のように伸び、動き…新八のうでに巻きついたのだ。
「え」

そう言った時には白刻に引っ張られ灰色の空を飛んでいた。
そしてひきつけられると先に新八を隣の建物に投げ飛ばす。
「ぎゃァァァァァァァ!!」

     バリーンッッ!!

新八の背中で勢いよくガラスが割れ、続いて銀時と神楽が転がり入ってくる。
そして最後にフワっと降り立ってきたのは新八を飛ばした白刻だった。

「痛って!…ごほっ」
銀時は起き上がるとむせる。

「新八ィ!大丈夫アルか!」
いや、僕がお前らの入ってきた窓のガラス割ったんだよ!?
なんてことは言わず、いや…いえなかった。
安心感で声がでないのだ。
だが、すぐに神楽も銀時も立ち上がり白刻は
「心配いらなかったでしょ?」
…と一度笑うと前を向き真剣な顔で

「ここからは本当に危ない…気引き締めていこう。」

そう言った。
それに、万事屋三人は強く頷き本当の戦場に走りだす。


「一体なんの建物なんだ?気味わりィな…」
銀時のいうとおり建物内は薄暗く科学研究所のようなものだ。
そう、よう。ではなくてそうなのである…病院の隣にたっているのだからそういう名目の建物なのだが…黒昌磨璃沙が何をやっているのかは分からない。

と、そのときだった。

白刻の顔横を何かがものすごい勢いで飛んでいったのだ。
そのかすかな風に気付き白刻は立ちどまる。

「?どうしたアルか?」
その瞬間に白刻は顔横に手をおき、何かを掴んだ。
それは、刃先が黒い『短剣』だった。

「屈めッッ!!」
それに気付いた瞬間白刻が大きな声を出す。

その言葉を聞いた銀時、神楽、新八はすぐさま屈むとそのすぐ後に頭上を数えられないほどの短剣が通ったのだ。

「「「!!!???」」」

それをみて唖然とする三人に白刻の声が響く。

「短剣使い…ということは静寂の狂気、三途昌か」
目の前には長い髪を後ろに結わえ、黒い着物を纏い、右手に5つ…左手に5つの短剣をもった一人の男だった。

「お前らが俺と遊んでくれんのかァ!?」

目を紅く染め…狂ったような狂声で呻る狂気の昌が笑っていた。