二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: バトテニ-無駄な感情- ( No.11 )
- 日時: 2010/01/22 18:28
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
54 果たされた約束
「必ずまた会おう」
約束したもんね。 皆。
「ん・・・」(ジロー)
目を開けると、肩に痛みが走った。
「痛・・・ ここ何処?」(ジロー)
飛んでいた記憶がゆっくりと戻る。
地獄が、蘇る。
「目が覚めた? ジローくん?」(不二)
「不二くん・・・」(ジロー)
その顔を見ると曖昧だった場面が、頭の中で全てつながった。
飛び散る血、怒声、悲鳴。
その中で戦っていたのは・・・大切な2人。
「あ、跡部!! 跡部は?!」(ジロー)
「ジローくん?」(不二)
「それに、樺地も! 2人は、どうなったの?!」(ジロー)
起きあがり、不二の腕を掴み必死の顔で問いつめる。
不二は、自分の口から事実を語るのをためらった。
どう説明したらいいんだろうか。
慎重に言葉を選ぼうにも、選べない。
ストレートに伝えようにも、伝えられない。
「不二先輩・・・」(リョーマ)
隣に居たリョーマも、言葉をつまらせる。
そんな2人を見て、ジローは何かを悟った。
「な、に? 言ってよ」(ジロー)
「・・・ッ」(不二)
「不二先輩・・・」(リョーマ)
言わなくては。
ごまかしたって、すぐに分かること。
逃げずに伝えなくては。
それがどれほど、残酷な結果だったとしても。
俺には、強さが足りない。
相手と、真っ向から向き合う強さが。
向き合わなければ、何も伝わらない。
「ジローくん」(不二)
「何?」(ジロー)
「跡部が樺地と戦って、止めたんだ」(不二)
跡部は、樺地を殺したワケじゃない。
止めたんだ。
そんなことは綺麗事でしか無いのかもしれないが。
「それって・・・」(不二)
強く、自分を見つめる目。
この目に、ウソなんて何処にもない。
冗談なんて、何処にもない。
「そっか・・・」(ジロー)
急に落ち着きを取り戻したジローは、小さく呟いた。
「待ってたんだ。 跡部がさ、“ジローのヤツ何処にいんだッ”とか言って、
樺地が探しに来てくれて、宍戸に“遅ェよ”って言われて、鳳は優しく起こしてくれて
岳人と忍足も、笑いながらこっちに来て、滝はブツブツなんか言ってて・・・」(ジロー)
涙が流れて、布団に落ちる。
「早く、皆のトコロに戻るのを。 待ってたんだ」(ジロー)
約束を果たしてくれるのを。
「ジローさん・・・」(リョーマ)
「・・・」(不二)
待ってるだけじゃ、ダメだったんだな。
今度は、自分から約束を果たさなくちゃ。
跡部は、約束を守ろうとして、助けようとしてくれたんでしょ?
大切なモノと引き替えに。