二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ-無駄な感情- ( No.12 )
日時: 2010/01/22 18:29
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 54 果たされた約束(後編)




ジローはベッドから起きあがり、隣の部屋に向かった。


「皆ッ!」(ジロー)

突然のジローの登場に、跡部は驚いた。
ケガが酷く、まだ眠っているだろうと思っていたから。

「じ、ろー・・・」(跡部)

跡部は、苦い表情を浮かべた。
もう、全て知っているのだろうか。
俺のしてきたこと。
何より、樺地が死んだこと。
コイツは、立ち直ってくれるか? 俺を、許してくれるか?

隣の部屋から、ジローに続き不二とリョーマが出てくる。
不二は跡部に向かって“大丈夫”とでも言うように、小さく頷いた。

「ジロー・・・」(跡部)
「跡部ッ」(ジロー)

やっと、会えた。

大事な仲間。 
全員じゃない、だけど、確かにここに存在する大事な仲間。

嬉しさに、ジローは跡部に飛びつく。
跡部は尻餅を付いて床に座った。

「ジロー、お前・・・」(跡部)
「跡部はさ、ヒーローみたいだよね」(ジロー)

「・・・は?」(跡部)

思いがけないジローの言葉に、困惑する跡部。
皆は静かに見守った。

「いつでも、どんな相手でも勝って、すっげェ決め技持ってて・・・」(ジロー)

跡部も、静かに聞いた。
ジローの言葉が、こんなにも嬉しい。 そして、落ち着く。

「それに、約束も守ってくれた」(ジロー)

ニカッと笑うジロー。

「後で必ず会おう」
そうだ。 出発前にしたあの約束、果たすことが出来たんだ。
でもな、違うぜ。
ヒーローなんかじゃないんだ。
ヒーローなら、お前のコトも樺地のことも、ここにいる全員のこと助け出してやれるだろう。

「また会えただけで充分だよ。 宍戸も、忍足も」(ジロー)

言葉が、胸に刺さる。
仲間がいる、生きている。

また、巡り会えた。

「バカヤロ・・・ッ」(宍戸)

悲しくもないのに、涙が溢れた。

絆が、初めて見えた。


「生きよう。 で、またテニスしよう」(ジロー)


全員が、頷いた。


助け合うことは無駄なコトなんかじゃない。
希望を持つことだって無駄じゃない。
大切なモノを守るために戦うことは、無駄じゃない。

この感情は、タカラモノ。
私たちが、心を持っているという証拠。

これは絶対、無駄じゃない。