二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ-無駄な感情- ( No.15 )
日時: 2010/01/28 18:09
名前: ?? (ID: 2nrfRM.C)

    


         【五章】 -無駄な感情-

        
        私たちは生きている。

        生きているが故に笑う。

        生きているが故に泣く。

        生きているが故に人を愛す。

        生きているが故にたくさんの感情がある。

        それは、心がある証拠。

        この世界では、“無駄”と呼ぶらしい。




 55 近づく




「くそ、くそッ 殺される。 殺される・・・ッ 死にたくない」

どうすれば、どうすれば生き延びられる?
どうすれば、俺は家に帰ることができる?
どうすれば・・・・

そうだ。 殺されたくなければ・・・

殺せばいい。





「ジローさん、キズ、大丈夫なんですか?」(香澄)
「ん? 大丈夫ッ もう痛くないC」(ジロー)
「そうですか」(香澄)

香澄達は出口があるのかどうか、どっちに進めばでられるのか、
未だによくわからない森の中を進んだ。
立ち止まっては、余計なことを考えてしまうから。
分からなくても進まないと、余計なコトばかり頭によぎる。

「行くぞ、香澄!」(桃)
「うん」(香澄)

深い、深い森の中。
進んでいく。 もう、立ち止まらない。
大人に、中務に、なんとしても対抗するために。
傷つけたくないのに傷つけて、裏切りたくないのに裏切って。
苦しんで死んでいった、仲間達の復讐をするために。
私たちの心は1つ。

「どうしたんですか? 忍足さん。 キョロキョロして」(桃)
「イヤ・・・何でもない」(侑士)

どんなことがあっても、俺たちの思いは変わらない。

「やっぱ、心配なんだろ。 岳人のこと」(宍戸)
「どうやろな」(侑士)

たとえ、仲間が自分を狙っているとしても。

「岳人なら大丈夫やろって、ゆうたやろ」(侑士)
「・・・」(宍戸)

侑士は、ガラにもなくへラッと笑って見せた。
宍戸には、その笑顔がウソのように思えて仕方がない。

心配なんじゃねいのかよ?
俺は心配だぞ? 岳人のことが。
あんなに仲良くやっていたのに、こんな形で会えなくなっても良いのかよ?

他人のことに、あまり感情的にならないのが侑士かもしれない。
だけど、何かがおかしい。

「塔って、こっちの方にあるみたいッスね」(赤也)
「そうだな」(海堂)
「あと少ししか、時間がねェんだ。 急ぐぞ」(跡部)

決戦の時が、近づく。
私たちの運命の時。

そして、もう1つの悲劇も近づいていた。