二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ-At the time of parting- ( No.462 )
日時: 2010/03/28 15:01
名前: 亮 (ID: nWdgpISF)

 
  【−Another Story2− 友情と愛情と別れ】
       

       
       大人が聞けば、笑うかもしれない。
       たかが中学生で、“愛”なんて“バカげてる”と。
       だけど、俺たちは全力で、キミを愛した。
       たかが中学生の愛。
       だけどそれは、この世で1番綺麗な“愛”。


       12年前、俺たちは“訣別の時”を迎えた。
       2つの約束と共に。

       1つ目。   “もう2度と”会わないこと。
       そして2つ目は———————————————



 98 何のために、俺たちが。




こういうの、青春っていうのかなって。
そんなコトを考えながら、毎日を過ごしてた。

キミがいて俺がいて。
ムカツクけど大切な、アイツがいて。

隣り合った手が触れたり、数秒間だけ目があったり、それだけでいいんだ。
キミが笑い返してくれるだけで。



それだけ。 それだけで、いいんだよ。
だから、壊さないで。





「君たちは、第1回バトルロワイアルの参加者に選ばれました。 おめでとう」





“オメデトウ”?
有り難くもクソもねェよ、そんなの。

「これから5日間、君たちには殺し合いをしてもらいます」

小太りのおじさんが、機嫌良く話す。
バスに乗って、テニス部の合宿へ行くはずだったのに、目が覚めたらこんなぼろい旧校舎にいる。

「これから番号と名前を呼びます。 
 呼ばれた人から、ここでデイバックを受け取って、校舎から出てください。」

そんなことを言われても、誰も信じられないわけで。
“バトルロワイアル”なんて言葉さえ、俺たちは知らなかったのに。
いきなり“参加者”と言われても、状況を把握できなくて。

「ね、オサム。 何が起こっているの?」

オサムの隣に座っていた織原リサが、オサムのジャージの袖を掴み、不安そうに訊く。
“何が起こったか”なんて、オサムにも理解できない。
理解出来ないんじゃい、理解したくないんだ。

「分からない」(オサム)
「・・・」(リサ)

理解した時点で、俺は“違う次元”の人間になってしまうような気がした。



「ちょ、ちょっと待てよ!」



オサム達の後ろにいた少年が、声を張り上げる。
おじさんは、さっきまで機嫌良く話していたのがウソのように、不機嫌なカオをした。

「・・・何だね?」

それでも怯まない。
それが、“中務隼人”だった。

「意味分かんねェよ、何のタメに、俺たちが!」(隼人)

此処にいるテニス部員の、誰もが思うことだ。
そうだ。
何のために、誰のために、俺たちが?

「君たちに、答える筋合いはない」

ほら、もう本性を現して来た。

「じゃァ、止めてやるよ。 こんなゲーム」(隼人)
「ほぅ」
「首輪なんか、外してやるよ!」(隼人)

隼人は付けてある首輪に手を掛け、力一杯引っ張ろうとした。
イヤ、もう無理矢理引っ張っていた。
そんなことをやっても、取れやしないのに。

「言い忘れていたが」

おじさんが、今度はニヤリと笑う。
もう完全に、殺人者のような。 そんな目で。


「無理矢理外そうとすると、爆発するぞ」


「「?!」」

背筋に、ゾクッとオカンが走った。
オサムは、声を張り上げる。



「隼人! 首輪から、手を離せ!!」(オサム)



「もう遅い」

おじさんは、手元にあるボタンを、なんのためらいもなく押した。
オサムにも、隼人にも、リサにも、それが何なのか想像できた。





「止めろ!!!」(オサム)




オサムが、再び叫ぶ。
それと重なるようにして、オサムの後ろから爆音が聞こえた。
聞いたこともないような、大きすぎる音。
たとえようのない、大きな音だった。

「え・・・」(隼人)
「隼人!」(オサム)

オサムが振り向く。
隼人は、普通にそこに立っていて。
その後ろでは、後輩が血だらけになっていた。

「・・・ッ」

言葉を失う。
それを見て、困惑していた隼人も、おそるおそる、振り向く。
真っ赤な血だけが、そこにある。
さっきまで、一緒に笑っていたアイツは、何処にもいない。


「何、だよ。 コレ」(隼人)


憎しみがこみ上げる。



「何で! 何でアイツを殺した! 何で俺じゃない?! 首輪を触ったのは俺だろ?!」(隼人)



憎しみとは別に、自分への怒りが。
自分の、勝手すぎる行動で、後輩が死んだ。
死んだ? 違う。




俺が、殺した。




「何で・・・・ッ!」(隼人)
「隼人」(リサ)

リサが、隼人へ駆け寄る。
後に、オサムも続いた。
「うまくいった」とでも言うように、おじさんは笑う。









「これで分かっただろう? 理由なんて無い。 殺せ。 最期まで生き残ったヤツが、優勝者だ」



それは、滅びの呪文。