二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: バトテニ-At the time of parting- ( No.523 )
- 日時: 2010/04/02 21:43
- 名前: 亮 (ID: nWdgpISF)
101 俺なりの戦い方
一通り武器を見て、分かったこと。
これじゃ、生き残ることは不可能に近い。
人を殺そう、というこのゲームに乗ったわけではない。
だけど、分かってきた。
守らなければ、その先は“死”。
“正当防衛”という名の、“殺し”をしなければ、その先には“死”しか待っていない。
キミを、守りたい。
だから俺たちは、武器を手に取る。
「脱出、出来ねェか? この島から」(隼人)
隼人が、何気なく口にした言葉。
コイツは、狂ってしまったのか?
「説明、聞いてなかったのかよ? お前」(オサム)
「そういうわけじゃ、ねェけど」(隼人)
この、くだらないゲームの説明。
「紙にはね、こう書いてあるの」(リサ)
リサは、淡々と、ルール説明を始めた。
「この島は、無人島である。
故に、設置してある民家、病院、学校は、全てBRのために用意された。
1日2回、12時間ごとに放送を流す。
これでは、死亡者と禁止エリアの発表をする」(リサ)
隼人が、「禁止エリア?」と首をかしげた。
リサはニコッと笑い、「続きを読むよ」と言った。
「デイバックの中に入っている地図に、アルファベットと数字が記入してある。
それを参考に、禁止エリアを確認すると良い」(リサ)
「こういうこと」とリサは言った。
隼人は、さっそくデイバックをあさり、地図を取り出す。
「禁止エリアになってから、その場所を5分以内に離れること。
そして、島の外へ出ないこと。
さもなければ、している首輪が爆発する」(リサ)
“爆発する”と言う言葉を、リサは戸惑いながら言った。
隼人の顔色が、どんどん青ざめる。
オサムの脳裏にも、あの光景が戻ってくる。
「期間は5日間。
最終日に複数の人間が生き残っていたら、優勝者は無しとし、全員爆死とする」(リサ)
リサは、一通り読み終え、紙をたたんだ。
「脱出は、無理がある」(リサ)
一言、そう言った。
隼人も、同じコトを考えていた。
「禁止エリアと島の外へは行けない」(リサ)
「ここに来る前、海岸に舟があった。 だから、何とかなると思ったけど」(隼人)
「無理、だな」(オサム)
オサムも、同意する。
首輪がある限り、“爆発”というリスクがつきまとう。
首輪が、ある限り・・・
「あ」(オサム)
オサムの、脳が働く。
「何?」(リサ)
武器は取らない。
だけど、戦う。
「俺、ちょっとタメしてみるよ」(オサム)
まるで、テニスコートにいるように。
彼は笑みを浮かべる。
「オサム?」(隼人)
俺は俺なりの方法で、キミを守る。
大人と戦う。
あってないような、こんな武器。
すぐにでも捨ててやるさ。
「何を?」(リサ)
リサが、再び問う。
オサムの笑みは消えない。
かつて、“テニス部の頭脳(ブレーン)”そう呼ばれた。
「頭脳戦。 俺は、この首輪を外すことに、命を賭ける」(オサム)
オサムの言葉を聞き、2人は驚きの表情。
だけど、納得だ。
彼らしい、戦い方。
「手伝う」(隼人)
隼人は、さっそくジャージのポケットの中からノートとシャーペンを出す。
「隼人、お前それどっかから・・・」(オサム)
「いつも持ってんだよ」(隼人)
隼人も、気持ちはテニスコートの上。
「作戦だらけのお前のテニスに対応できるの、俺だけだろ?」(隼人)
そうだ。
何度やっても、誰とやっても、1番しっくり来るのは、隼人なんだ。
きっと、俺らは最高のダブルス。
「そうだな」(オサム)
オサムは、ココロに決めた。
武器は持たない。
だけど、俺は戦う。
この地獄のようなコートから、はい出てやるんだ。
リサは、そんな後ろ姿を見つめた。
援護します。
私は、あなたたちを援護します。