二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ-At the time of parting- ( No.552 )
日時: 2010/04/04 11:56
名前: 亮 (ID: nWdgpISF)

 102 勝手な俺たち




戦う。
それは、自分の出来る全てのことを出し切ること。


「むやみに、首輪をいじるなよ」(オサム)

触ろうとする隼人に、オサムが指示をする。

「おぅ。 でも、それじゃそうすれば・・・」(隼人)
「観察。 どこにどんな機能があるか」(オサム)
「・・・じゃ、お前が俺のを見てくれよ。 そのほうが良いだろ」(隼人)
「ん」(オサム)


“データテニス”とまでは言わないが、オサムの観察力はテニス部でトップ。
それを試合の中で使い、パートナーである隼人を支えてきた。

「どう?」(リサ)

リサの問いかけに、オサムはしばらく考えて答えた。

「いろいろ、付いてる。 この首輪」(オサム)
「・・・いろいろ?」(リサ)
「何かまでは分かんねェけど。 いろいろ」(オサム)

オサムは、更に観察を続けた。
どれくらい時間が経っただろうか。
同じ体制を続ける隼人にも、限界が来る。

「あの、さ。 そろそろ動いてもいい?」(隼人)
「ん? あ、悪い」(オサム)

オサムは、ため息をつく。
思ったよりも、難しい。
見たことも無いような、色んな機能。


「簡単じゃねェな」(オサム)


一言、呟いやいた。

初めから、簡単じゃないことくらい理解していた。
だけど、どうしても。
どうしても、守りたいモノがあるから。

オサムは、リサを見た。

こんな汚れたゲームで、キミの綺麗な瞳を殺すわけにはいかない。
こんなゲームにのる狂った奴らに、キミの命は渡さない。
渡したくない。

「オサム?」(リサ)

何故か、強くそう思う。

「何でもねェ」(オサム)
「変なの」(リサ)

コイツが好きだ。
何より好きだ。
強く、そう思う。

「変じゃねェよ」(オサム)

追いつめられる。
それごとに、強く思う。






好きなんだ。





「もういいぜ。 続きしよう」(隼人)

休憩をして気が済んだのか、隼人が晴れやかな表情で、オサムたちを見た。

「じゃ、やろうか」(リサ)

リサも、オサムとあっていた視線を、ぱっとはずす。
同時くらいに、オサムも他の方向を見た。

「?」(オサム)




目に飛び込んできたのは、拳銃を持った、後輩。




「リサ! 隼人!」(オサム)

オサムが名前を呼ぶ。
相手は、容赦なく発砲してきた。

「ッ!」(隼人)

幸い、3人の誰にも当たらなかった。
だが、相手は向こうから突っ込んだ来る。
太刀打ちできない。
こんな武器じゃ。

矛盾しているかもしれない。
武器を取らない。 俺たちは、俺たちなりの戦い方を選んだ。

だけど、今俺は、武器を手に取った。
使わない、使いたくない、そう思ったしょぼい武器に、今俺は頼っている。


「パチンコなんかじゃ、目くらましにしかならねェや」(オサム)


それでも無いよりはマシ。
キミを守るためには、必要なんだ。

「オサム!」(リサ)

リサが隣から話しかける。
「逃げよう」そう言って2人の袖を引っ張る。

「待って、リサ」(隼人)

隼人は、なだめるようにリサに言った。
気がついていた。
後輩のねらいは、俺だ、と。


「死ねッ!!!!!」


そう言って、ヤツが飛びつくのは、俺だ。

隼人が思ったとおり、相手は隼人に飛びつこうとした。
隼人の身勝手な行動のせいで、“犠牲”となった後輩の、ダブルスのペア。


「ごめん」(隼人)


耳元で、ささやいた。
そして、腹を思い切り蹴る。

「殺さない。 だけど、殺させない」(隼人)

隼人は、「ごめん」ともう1度呟いた。











俺たちは勝手だ。
武器を捨てる、そう言いながら、本当は何より、武器に頼っている。

俺たちは、“戦い方”を選べない。
キミを守るためなら、どんな“戦い方”も、“俺たちなり”に変わるんだ。
































俺たちは、勝手だ。
いつでも、守っているつもりになっている。