二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: バトテニ-無駄な感情- ( No.7 )
- 日時: 2010/01/20 16:34
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
53 自信に変わる
「“俺が強くいられたのは、お前達が居たからだ”」(リョーマ)
放送の直後、リョーマは言った。
あの地獄の中、手塚が必死の思いで自分に残した言葉だ。
「越前?」(不二)
「手塚部長が、俺に言ってくれたんです。 1人じゃ強くなんてなれないって」(リョーマ)
そう語る瞳はどこか寂しげで。
君の中の手塚が、どれほど大きな存在だったかを物語る。
「手塚らしいね」(不二)
やっぱり君には、人を殺すという判断はなかったんだね。
君の判断は、“仲間を守る”と言うモノだったんだ。
「“青学の柱”になれるんスかね。 俺」(リョーマ)
香澄がリョーマに告げた、手塚からの伝言。
それは、“柱”を託すというモノ。
まだ実感が湧かなくて、託されたモノの大きさに潰されそうで。
まだ自分の器にはまらない気がして。
あふれ出す不安は、自分の手でどうにかするしかないのに、どうして人は人に答えを求めるのだろう。
「もう、なってるんじゃないかな」(不二)
ニコッと笑う不二。
ああ、そうか。
人に答えを求めるのは、認めて欲しいからなんだ。
誰かに認めて貰えば、人は自信がつく。
ほら、今だって、その自信で、俺は不安から逃れられる。
「大丈夫だよ」(不二)
ねェ、手塚。
新たな柱は、強く生きているよ。
心配しなくても、僕たちの柱は、ここに有り続ける。
きっと、いつまでも。
「ありがとーッス、不二先輩」(リョーマ)
リョーマは少し照れくさくて、帽子で顔が隠れるように舌を向いて言った。
「意外と素直だね、越前(笑」(不二)
「・・・」(リョーマ)
いつでも余裕そうな、その笑顔は変わらない。
今の自分とは正反対の、自信に満ちた笑顔。
「悪いッスか」(リョーマ)
“同じ学校にバケモノが2人もいるなんて”
少し前の自分の言葉が、繰り返される。
この人にも、ちゃんと追いついていない。
「帰ったら、テニスしましょう」(リョーマ)
「え?」(不二)
「決着付けようじゃないですか。 引退も近いワケですし」(リョーマ)
不安が自信に変わった今、俺はこの人のように笑えているのか?
「じゃ、絶対に生き残らなきゃね」(不二)
「トーゼンッ」(リョーマ)
もう1度、テニスをしよう。
もう1度、皆で笑おう。
胸を張って、家に帰ろう。
戦った仲間を、誇りに思って。