二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ-無駄な感情- ( No.74 )
日時: 2010/02/08 18:34
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)


 63 希望をください




この世界は、無駄ばかりだ。
必要だったモノのほとんどが、無駄なんだ。


「英二先輩・・・」(香澄)

香澄は、再び英二の顔を見る。
さっきまで持ち続けていた希望が、崩れ去るのを止めるように。

「無理なんて、言わないでくださいよ・・・」(桃)

桃も希望を持とうと、自分に言い聞かせる。
でも、失望は隠せない。

考えたこと無かったんだ。
希望が無駄だなんて。
生き残った後のコトなんて。
生き残れば、いつもの生活に戻れるというのは、無理なことなのか?
だとしたら、俺たちは、一体どうしたらいいんだ?

俺たちは今、キミを失望だけの世界へ帰らせようとしているのか?


「皆を殺して、俺も死ぬ。 天国のほうがよっぽどいいよ」(英二)


皆、変わってしまった。
これからも、変わり続ける。
それなら、俺はこの状況のまま死ぬ。
皆を、殺して。

英二は、香澄に向かって銃を構える。

「止めろ! 菊丸!」(宍戸)
「うるさいッ お前に何が分かるんだよ!」(英二)
「いい加減にしろよ、菊丸。 大石は、そんなことのぞんじゃいねェぜ」(跡部)

跡部も宍戸も、必死に言葉を探した。
その末に、何の根拠も無い言葉しか浮かばない。

大石が何を望むか。
そんなの、分かんないじゃないか。

「英二先輩」(香澄)

もはや、戦う意志もない。
何を思って戦えば良いか分からない。
何を思って生きてきたかも分からない。
英二の一言は、全員の希望と生きる支えを奪った。


・・・希望なんて、最初から無かったのかも。


香澄は、ふとそんな気がした。
桃も、そう感じていた。


希望を持てた気がしてただけ、なのかもな。


「止めろ!」(宍戸)
「後悔するのは、菊丸くんなんだよッ」(ジロー)

何を言っても、英二には届かない。
もう、力ずくで止めるしかない。

「止めろ、菊丸・・・!!」(跡部)

跡部と宍戸は飛び出した。



パァンッ・・・



同時に、銃声も響いた。