二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ-無駄な感情- ( No.79 )
日時: 2010/02/10 20:38
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)


 65 同じ境遇にいる者




再び、銃声。
もう、香澄には届いていないのだろうか。

英二に銃を突きつけ、引き金を引いた。
確かに引いたはずなのに、英二には当たらなかった。
かわりに、後ろからの銃弾に、英二は倒れる。

「アンタは・・・」(桃)

後ろで銃を引いたのは、真田だった。
険しい顔つきだ。

「真田、副部長!」(赤也)
「真田か・・・」(跡部)

一言も話さず、英二のほうへ歩み寄る。
英二も、まだ死んではいないようで、離してしまった銃を再び握ろうとする。
桃は、その光景を見て、呆然としていた。

「・・・くそッ・・・さな、だ・・・」(英二)
「すまんな、菊丸」(真田)

悲しい、悲しい瞳。
不本意なことをした、という後悔の気持ちが伝わってくるようだ。

「殺してよ、こんなに、苦しませないでよ、ね。 さな、だ・・・」(英二)

英二は、正気に戻ったようだった。
だって、こんなにも穏やかな瞳を取り戻している。

「桃、香澄・・・・」(英二)

意識の無い香澄と、呆然と立ちつくす桃。
2人の心を、自分が壊してしまったことを自覚する。
ごめん、ごめんね。 2人とも。
もう、遅いかな?


「ごめん、ね。 桃、香澄、皆・・・」(英二)


殺したい、なんてウソだよ。
いつまでも、仲間だと思っていたかった。
本当に、ごめん。

「殺してよ、真田」(英二)

頬に、涙が伝う。
死にたくない。 だけど、生きる資格も無い。
俺は、もう、仲間のトコロには戻れない。

「・・・いいのか?」(真田)
「早く」(英二)

ゆっくりと、目を瞑る。
真田は、発砲した。

今、そっちへ行くよ。 大石。
怒んないでよ。
だってさ、やっぱ、お前といなきゃ、つまんないよ。
さよなら、皆。


「副部長・・・」(赤也)

赤也は、心配そうに真田を見る。
この人は、乗っているわけではないのか?

「不思議なものだな。 死ぬ前は泣いているのに、死んだら、途端に笑顔になるんだ」(真田)
「副部長・・・」(赤也)

幸村も、柳生も、そうだった。
正気を取り戻し、後悔し、そして死ぬ。
最期は、いつも笑顔。 

「一ノ瀬の手当が先だ。 行くぞ」(真田)

真田は、英二の体に枯れ葉を掛け、香澄の元へ歩いた。